ヒトメボ

『fam』オーナー

本田英明

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 クルクルとした独特の髪型を指して『おばちゃんパーマ』というように、「おばちゃんはパーマをかけている」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか? 筆者の母親(50代後半)も例に漏れずかけていますし、親戚やまわりの50代以上の方を見渡すとパーマをかけている率がとても多いことに気付きます。

 世間には様々なヘアスタイルがあるのに、なぜおばちゃんになるとこぞってパーマをかけるのでしょうか? その疑問を、代官山の美容院『fam』のオーナー・本田英明さんにぶつけてみました。

女性ホルモンの減少による髪の老化

「髪をボリュームアップさせるため、というのが一番の理由ではないでしょうか。活発だった女性ホルモンの分泌が30歳ぐらいから減り始め、その影響で髪も老化していきます。髪の量が減少し、ハリやコシもなくなるため、全体がペタリとして地味な印象をあたえてしまいます。なので、華やかにみせるためにパーマをかけてふんわりさせる方が多いのでしょう」(本田さん)

 女性ホルモンが減少すると、髪の調子まで衰えてしまうというちょっと悲しい事実。髪型ぐらいは華やかなほうがバランスがとれていいのかもしれません。

 それにしても、パーマにはたくさんの種類があります。わざわざあんなにカールが強い「おばちゃんパーマ」を選ばなくてもいいような気も…。

若く可愛く! くるくるパーマに秘められた効果

「ウェーブの強いカーリー感のあるパーマが好まれているのは確かです。具体的に説明すると、カール具合が大きく、毛先がクルッと丸まっているスタイルということですね。大きくカールすることでボリュームが出せることはもちろん、髪全体に動きをつけることにより可愛い印象になり、若々しくみせる効果もあるんです」(同)

 可愛さや若々しさをいつまでも保っていたい。おばちゃんパーマにはそんな乙女心が隠れていたなんて…。でも、おばちゃんパーマといえばショートカット+パーマのイメージ。より女性らしく見せたいのなら、ボブやロングヘアにパーマの方がよいのでは?

ボリューム対策とお手入れ対策

「ショートにする理由はふたつあります。ひとつめはやはりボリューム対策。短くすることで髪を軽くし、薄くなりがちな頭頂部をふんわりさせられます。そしてもうひとつの理由はお手入れ対策です。同時に白髪染めをされる方も多いですが、それを繰り返すと髪のうるおいがなくなりパサついてしまいます。

その髪の傷みも短いスタイルにすることで目立たなくできるんですよ。それから洗って濡れてもすぐ乾くとか、邪魔にならない便利さも人気の一因なのでしょう」(同)

 若々しくみせたい、でも手間はなるべくかけたくない。そんな相反する可愛い乙女心と実用性を重視したいおばちゃん心。おばちゃんパーマは、そんなワガママを満たす工夫が施された髪型なんですね。

若かりし頃の栄光

 それからもうひとつ、『おばちゃんがパーマをかける理由』について「おばちゃんがパーマをかけるのは、自分が若いころに流行っていた髪型を忘れられないのでは?」と、本田さんが推測。確かに、自分が一番楽しかった頃の記憶は強烈な印象で残っているもの。一理ありそうです!

 ちょっと調べてみたところ、「おばちゃんパーマ」のように強いカール感が特徴のカーリーヘアは’80年代に広く流行したという説を発見。これはちょうど50代~60代の方が20~30代だった頃と一致します。

 さらに遡り、70~80代の方が10~20代を過ごしていた’50年代。コールドパーマ(いわゆる現在のパーマ)が登場して間もないこの時代、自分でカーラーを使いクルクルと巻く髪型が主流だったそう。そういえば、おばちゃんが取れかけたパーマをカーラーでクルクル巻いている姿を昔はよくみたような…。これが「おばちゃんパーマ」の原型という可能性も?

 クルッとした髪型こそが最先端のオシャレだったそれぞれの時代。若かりし頃の姿が記憶の中で輝いているために、今でもクルクルしたパーマをかけたくなるのではないでしょうか。

 ということは、世代によっておばちゃんになったときの流行りスタイルが変わってくる可能性も? エクステが当たり前になっている世代なら『パーマの代わりにエクステでボリュームアップ!』なんて、そんな時代が来るのかもしれませんね。

(志賀むつみ)
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ライター

志賀むつみ

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