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2019.06.22
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「UMA」は「未確認生物」という意味で使われている言葉です。UMAといえば、雪男やネッシーなどを想像する人が多いのではないでしょうか。しかし、そのような現在でもほとんど見つかる可能性のないUMAだけではありません。かつては未確認生物だったけれど、今ではみんなが知っている、そんな動物もいます。「かつてはUMAだった動物」について、しばしば日本最強のデバンカーといわれる皆神龍太郎先生に聞いてみました。
※「デバンカー(debunker)」とは、超常現象やオカルトを懐疑的に扱い、科学的に検証しようとする人のことです。
――今回は「UMA」です。かつてはUMAとされていたのに、今では誰もが知っている普通の動物。そんな例はあるのでしょうか?
皆神先生 それはたくさんありますよ。例えば、以下のような動物は昔は「未確認生物」でした(他にもあります)。
――へえ、多いんですね。
皆神先生 目撃談だけだと存在が否定されやすいですね。今ではいて当たり前ですが、例えばキリンですと、目撃談だけでは「そんな首の長い哺乳類がいるはずない」と否定されるでしょう。「多くの哺乳類の頸椎(けいつい)は7つと決まっているので、そんな長い首になるのは不可能だ」とか「頭を下げたら脳溢血で死ぬような動物なんかあり得ない」とか、科学的な根拠を持ち出して目撃談が否定されていたに違いないと思います。
――でも、いると。
皆神先生 そう、でも実在するんです(笑)。最近だと「サオラ」なんかも有名です。「ベトナムレイヨウ」と呼ばれたりするウシ科サオラ属の動物ですが、インドシナ半島に生息しているもののその生態は全く分かっていません。写真がありますし、いることは確かですが、希少すぎて捕まえて研究するわけにもいきませんからね。
――歴史を振り返ってみても、現在はUMAとされていても見つかる可能性があるということでしょうか?
皆神先生 問題はUMAの定義ですよね。
――UMAは「Unidentified Mysterious Animal」の略で、一般的には「生物学的に存在が確認されていない未知の生物」といわれています。
皆神先生 ゴリラなんかUMAじゃなかった、現地の人はみんな知っていたよ、なんて言う人もいるのです。ゴリラは生物学的に存在が認められるまでは、「そんな巨大な類人猿がいるはずはない」ともいわれていたのです。
――うーん、西洋人に認められないと「いる」ことにならないのかも。
皆神先生 生物学、動物学というのは西洋で生まれ発展してきた学問ですからね。帆船が発達してヨーロッパ人があちこちに出掛けるようになり、各地で新種の動物が発見され、「あそこにこんな新しい動物がいたぞ!」と報告されて認められる。新種の動物はこのようにして知られるようになってきたわけです。
ハクチョウの一種の「黒鳥(コクチョウ)」などは顕著な例で、昔ヨーロッパでは「そんなものはいない」といわれていました。しかし、17世紀にオーストラリアで黒い白鳥が発見され衝撃を与えました(笑)。現地の人は「コクチョウがいる」ことを知っていたはずですが、西洋人によって発見されるまではコクチョウはUMAだったわけです。
――そういう例は多々あるでしょうね。
皆神先生 そうなんですよ。上記で紹介した動物だって、生息域に近い所に住む人は目撃していたはずです。ですから、UMAといわれても「いそうなもの」「いてもおかしくないもの」については、実在したって特に驚かないでしょう。
――そうかもしれません。
皆神先生 これは生物の持つ「多様性を生み出すための仕組み」に関係しています。例えば、イヌにはさまざまな犬種があるでしょう? 人間が交配を行って生み出したものですが、とても同じ「イヌ」に属するとは思えないほど大きさも姿もさまざまです。これは生物の持つ可能性を表す一例です。いろんな形状の種を生み出す可能性を秘めているわけです。
ですから、例えばツチノコが実際にいたとしても誰も驚かないのではないでしょうか。「そうだね。いるかもしれないね」と思えますよね。ツートンカラーのシャチを知っていれば、同じようにきれいなツートンカラーのクマ、パンダがいても特に驚かないですよ。動物にはそのようなツートンカラーの生物を生み出す仕組みが備わっているのです。
――なるほど。
皆神先生 ですので、いてもおかしくないUMAは実在する可能性があるでしょう。しかし、人間の生存圏がどんどん広がって、生物の生息域を侵食しています。新種の動物が発見される可能性は小さくなっていると思いますね。
――ちょっと寂しい話ですね。ありがとうございました。
かつてはUMAだったという動物はたくさんいるようです。世界各地で新種の動物が続々と見つかった時代は生物学者、動物学者の先生方はきっと楽しかったでしょう。皆神先生のおっしゃるとおり、人間が動物たちの生息域をどんどん奪っていますので、新種の動物が発見される可能性は低くなっています。しかし、世界中があっと驚くUMAが見つかる可能性はゼロではありません。スゴい新種が発見されることに期待しましょう!
(高橋モータース@dcp)
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