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2015.08.31
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7:3の割合でピシッと髪が分けられた「七三分け」。おじさんと言えばこの髪型、という印象があるほど七三分けは中高年の定番ヘアですよね。ところで、なぜおじさんは七三分けなのでしょうか? そんな疑問を、代官山の美容院「fam」のオーナー・本田英明さんにぶつけてみました。
「一番の理由は、髪が薄くなった頭頂部を隠すのに最適だからでしょう。男性は早い人は20代から髪の老化が始まり、加齢とともに髪が細くなったり、ハリやコシがなくなってきます。さらに前頭部や頭頂部の髪が薄くなる特徴も。そのため、髪が多く残っているサイドのあたりから逆サイドに流して薄い部分を隠すのでしょう。また、女性と違って年配の男性はまず短髪が前提であることが多いですから、できる髪型の種類が少ないことも理由のひとつなのでは」(本田さん)
薄毛はやはりデリケートな問題ですよね。では、「七三分けにしたい」というよりも「七三分けにせざるを得ない」ということなのでしょうか。
「そういうワケでもないんですよ。今、七三分けをしている中高年の方々が若い頃はオシャレな髪型として流行していたんです。’50~’60年代に流行したクラシックアメリカンの映画を観ても七三分けの俳優が多く、当時のトレンドだったことが分かります。この当時の人が抱いていたアメリカに対する憧れから、七三分けをこぞって真似したのではないでしょうか。時代背景とファッションはいつも連動していますから」(同)
七三分けは当時『最先端でカッコイイ髪型』だったのですね。本田さんによると、そもそも七三分けには古い歴史があり、文明開化でちょんまげを切り始めた明治時代から、男性の髪型のひとつとして存在していたそう。しかし、ブームとなるのは戦後、高度経済成長期を迎えてからのこと。角刈りが主流だった日本で、アメリカで流行っているオシャレな髪型として七三分けが知られるようになったとか。
つまり、おじさんが七三分けにする理由は、「若かりし頃の栄光」(七三にしたい)と「薄毛をカバーしたい」(七三にせざるを得ない)の双方を満たせるベストな髪型だから…と言えるかもしれません。さらに…
「ぼさぼさの髪型はだらしないと思われがちなので、ウェットにぴたりとまとめることで誠実な印象を与えられることもメリットのひとつ。また、七三分けといえばポマードでピシッと分けている髪型のみを連想してしまう人は多いかもしれませんが、実際はツーブロックにしたり、前髪を少し上げてボリュームを出したり、分け目をきっちりさせず流すスタイルなどアレンジの幅は大きく様々です」(同)
そういえば、ひとくちに七三分けとはいいますが全員どこかしら違う印象がありますね。ワンパターンだと思いきや、長い年月愛されてきたなかで様々なアレンジ方法が生み出されてきたのですね。
世間一般ではまだまだ短髪を求められることが多く、女性よりもバリエーションが少ない男性の髪型。七三分けは「丸顔の日本人男性に最も似合う髪型」という説もあるそうで、長らく定番スタイルとして愛されてきたのは、わざわざ自分たちに似合っている髪型を廃れさせる理由もなかったから、といったところでしょうか。
その甲斐あってか、最近は若い男性の間でちょっとしたブームになっている七三分け。父と息子、親子そろって七三分けを楽しんでいる家庭もあるのかも。当時流行した髪型やファッションの話で盛り上がれるかもしれませんね。
(志賀むつみ)初出 2013/10/13
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