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日本発声教育協会 理事

堀澤麻衣子

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読了時間:約4分

 「通らない」「こもる」「小さい」など、声についての悩みを持っている人は意外に多いもの。男女問わず、よく響いて心地よさを感じさせる声の人には憧れますよね。いったいどうすればそのようなモテ声になれるのでしょうか。ボイス&メンタルトレーニングスクール「アマートムジカ」代表の堀澤麻衣子さんにお話を伺いました。

声をつくろうとしてもムダ?

「異性に対して声を変える人、異性の前でなくてもわざわざ低い声を出そうとする男性、高い声をつくる女性がいます。でも、つくり声を出してもモテません。高い声や低い声をわざと出そうとすると、声帯をしめたりしてノドに負担をかけます。無理のある発声法は長続きしませんし、つくり声のわざとらしさは他人から見ると意外に分かるものなんです」(堀澤さん)

 ごく短い会話なら一時的にごまかせるかもしれませんが、会話をしてみれば確かに「不自然な感じ」はなんとなく分かりますよね。これは声“だけ”を変えようとするからなのだそうです。

「一時的に喉を締めて声だけを変えようとせず、発声の根本となる、身体や心の状態を変えることが大切です。例えば、猫背の人は、肩が内側に入っていて、呼吸も浅く息をしっかり吸えないので、小さな声しか出せないことがあります。自分の声を一番聞いているのは自分なので、毎日聞いている自分の声のエネルギーに見合った自分になろうとしてしまいます。

つまり、小さな自分の声を毎日聞くことにより、自信がなくなっていったり行動がおとなしくなっていったりと、自分から出るエネルギーもどんどん下がっていってしまうのです。声をわざと低くつくったり、モテようと甲高い声を不自然につくったりするのも、心の根底では『自分に自信がない』から、とりあえず雰囲気だけよく見せようとしているだけなので、根本的な解決になっていません」(同)

まずは姿勢から!

 先の例でいえば、座っているときに背中が丸まっていて声が小さい人に対し、相手は「自分に自信がないのかな、もしくは落ち込んでいるのかな」と感じてしまうのだそう。

「やさしくていい人でも、姿勢が悪いだけで、声が出ず、なかなか自分の言っていることが相手の心にインパクトとして響かないために、なんとなく自分は大切にされていないと自己評価が低くなってしまう人もいます」(同)

 つまり、そうした姿勢やそれに伴う声などが原因で、本当のその人の良さが他人に伝わっていない人が多いそう。

「心の中で思っていることや感情が顔に出ず、表情のない人は何を考えているか分からないので、相手は緊張を強いられます。中にはそれがいいという人もいますが、喜怒哀楽のどんな感情でもこころの内を、表情や声、言葉として表現している人は 『分かりやすい人』なので安心できるのです。

無表情で『おいしいね』『ありがとう』『愛してるよ』と言われても、顔の表情と言葉の意味が一致していないので、口先だけではと疑ってしまいますよね。これを心理学用語では認知的不協和といいます」(同)

 肯定的な言葉と冷たい表情や声という相反するメッセージが同時に発信されることで相手の不安感を呼び起こしてしまうのだとか。

肋骨を意識した姿勢で安心感のある声に!

「声の悩みを解決する方法論はいろいろありますが、まずは肩を垂直に持ち上げ、肋骨を高い位置に保ったまま、力を抜いて肩だけをゆっくりと下におろします。それにより、声が胸板に響いて、信頼感、安心感、優しさが表現された声が自然に出せるようになります。気持ちが相手に届いているってこういうことなんだと分かるかと思います。

この肋骨を意識した姿勢は、自分の気持ちもすっきりするだけでなく、相手に、やる気や、前向きさ、エネルギー、自信など、プラスのオーラや声を発する好印象を与えます。この姿勢に変えた途端、今まで面接で落ち続けた人が面接に合格したり、恋人や家族と仲良くなれましたという報告をいただきます」(同)

 心の状態を変えるには時間が必要ですが、姿勢を変えることは今この瞬間からできそうです。声に悩みがある人、安心感を与えて人から信頼を得る声になりたい人は、まずはそこからスタートしてみてはいかがでしょうか。

(東野由美子/サイドランチ)
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ライター

東野由美子

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