ヒトメボ

桜美林大学 心理・教育学系専任准教授

山口創

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読了時間:約4分

「男性からふとした瞬間に頭を“ぽんぽんっ”とされてドキッとした」

 こんなシチュエーションを体験したことがある女子も多いのではないでしょうか!? それにしても、女の子は“頭ぽんぽん”にとても弱い生き物。ここだけの話、好きな人にされるのはもちろん、恋愛対象じゃなかった人にもキュンとなってしまうこともありますよね!? でも、肩をぽんと叩かれただけじゃドキドキしないのに、頭だとキュンとしてしまうのはどうして?

「頭をなでることには、相手に『可愛がっている』ことを伝える特別な意味があります。言ってみれば、犬や猫を可愛がるのと同じ行為。人は頭をなでられることで、相手から『優しく大事にされている』『特別な愛情をもらっている』と感じるのです。すると脳内でドーパミンが放出されて快の感情が高まると同時に、交感神経のはたらきが活発になります。ドキドキしたりキュンとなるのは、こうした心理的メカニズムと生理的メカニズムによるものです」

 と教えてくれたのは、桜美林大学准教授で身体動作やスキンシップに関する研究をしている山口創先生。どうやら、女の子が“頭ぽんぽん”で心身ともに幸せな気持ちになることは、科学的にも間違いないようです。でも、ひとくちに“頭をなでる”といっても、相手の触れ方や動作の違いで受け取る感情も変わってくるのでは?

「スキンシップの仕方は無数にあり、受け取り方もそれぞれ違ってきます。例えば、ポンと手のひら全体で包み込むような感じのときは、『守られている』『優しくされている』という感覚が強くなります。一方、くしゃくしゃと髪の毛をかき回すようななで方では、遊びとしてのコミュニケーション要素が強く、親しさが増すでしょう。いずれも『髪をなでられる』ことには性的な要素が含まれますから、相手がどのような意図で触ってくるのか、判断し理解することで、受け取り方は異なってくるものです」(山口先生)

 では、先に述べたような「肩をポンとたたく」などの触れ方とは、どんな違いがあるのでしょう?

「頭をなでるのは、目上の人が目下の人にすることだけが許される特別な行為です。頭は人間にとって最も上にありますから、そこをなでられることは相手の支配下になることを意味します。その点、『肩をポンとたたく』ことは単に親しさを表し、友人関係で行ってもOK。しかし『腰に手を回す』ことは性的な要素が強く、恋人同士でしか許されないものです」(同)

 ちなみに男性は女性からのスキンシップを好意的に感じるものの、上下関係を表す頭のときは別だそう。「下に見られている」「バカにされている」と感じてしまうため、女性が男性の頭をなでるときは、くれぐれもご注意を。

 また、相手との関係や状況によっても“頭ぽんぽん”の効力を発揮できないケースがあるのだとか。

「年齢の近いカップルや、男性と対等でありたいという女性は、頭をなでられても心地よく感じなかったり、反発を招くこともあります。また、相手の男性と心理的な距離があったり、友達以上の関係になりたくないと思っていると、キュンとしないこともあるでしょう。さらには男性がおどおどしながら触れたり、状況に似つかわしくない場面で触れたりすると違和感を覚えるのは、頭部に限らず他の部位に触れるときも同じ。『触れる』というのはとても繊細な行為で、触れられれば誰でも同じように感じる訳ではありません。人間関係、触れる状況、触れ方、言葉がけなど、様々な要素によって受け取り方は異なります。しかし適切に触れることができれば、その効果は言葉や他のどんな行為よりも強い力を発揮するのです」(同)

 “頭ぽんぽん”には女子のハートを射止めるスゴイ効果があるものの、一歩間違えると気まずい関係にもなってしまうようですね…。男子のみなさんはぜひ、女心を掴んだスキンシップをマスターしてくださいね!

(池田香織/verb)
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ライター

池田香織

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