ヒトメボ

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1980年代に流行したお菓子の一つに、1984年から1989年にかけて販売されたS&Bスナックの「鈴木くん」と「佐藤くん」があります。お菓子の商品名に名字を採用するという型破りなネーミングは、当時の子供たちを驚かせたものです。残念ながら現在は販売されていませんが、「しお味の鈴木くん、チーズ味の佐藤くん」というテレビCMを懐かしく思い出す人も少なくないでしょう。今回は、この「鈴木くん」「佐藤くん」の開発経緯について、エスビー食品株式会社 広報ユニットにお話を伺いました。

「鈴木」「佐藤」は当時約390万人いた!

――「鈴木くん」「佐藤くん」はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

エスビー食品 当時は、新製品の発売ラッシュでスナック市場が飽和状態でした。質的差別化が難しい時代でしたので、感性に訴えるユニークな商品開発が求められていました。そこで、ネーミング(名字)の面白さと、それをバックアップするデザイン(選挙ポスター風)と広告(CM)を連動させたトータルマーケティングの商品企画が考えられ、一度CMを見たら忘れられない商品名が採用されました。

――名字はなぜ「鈴木」「佐藤」だったのでしょうか?

エスビー食品 「鈴木」「佐藤」は、日本で1番目、2番目に多い名字です。この二つを使用することで、当時合わせて約390万人という膨大な潜在市場が見込まれたのです。

――なるほど。確かに「自分と同じ名字のお菓子だ」「友達と同じ名字のお菓子だ」というので購入している子供は多かったですね。

1980年代は「イメージ商品」が受け入れられる時代だった!

――開発時に大変だったことは何でしょうか?

エスビー食品 当時の市場では、ユニークなネーミングなど感性に訴えるイメージ商品が

受け入れられる傾向はありました。しかし、実際の消費者の皆さんの反応を予測することは困難でした。商品が発売されて本当に評価されるか、売れるのか不安な面もあったのです。しかし、結果はCMも大好評、想定以上の反応で品切れ発生、急遽増産体制を整えることになりました。

――マーケティングの正しさが証明されたのですね。実際、大ヒット商品になったわけですが、発売時の反響とブームをどのように感じていましたか?

エスビー食品 多数のファンレター、商品への要望の手紙をいただきました。1984年4月には1日当たり約400通、1985年2月には1日当たり約200通という勢いでした。

――それはすごいですね。おたよりの内容はどんなものでしたか?

エスビー食品 例えば、「私は田中という女の子ですが、『田中さん』というスナックも出してください」「ボーイフレンドの名前を付けたカレー味のスナックが欲しいです!」などのご要望がありました。

――当時の子供たちに与えたインパクトも大きかったですが、「鈴木くん」「佐藤くん」はエスビー食品さんにとってもエポックメイキンな商品でしたか?

エスビー食品 想定以上の大反響で発売すぐに品切れとなりました。そのため、約1カ月予定のCMをいったんストップし、増産体制を急遽整備して対応するほどでした。業界では一般的に10億円でヒット商品という中、半年で15億円の売上を達成した大ヒット商品になったのです。

――ありがとうございました。

「鈴木くん」「佐藤くん」は、当時の子供たちが今でもしっかり覚えているぐらいインパクトのあるスナック菓子でした。ネーミングの妙だけではなく、多くの人が実際に食べたから覚えているわけですが、その売れ行きは発売元のエスビー食品さんも想定外の爆発的なものだったのです。ちなみに、「鈴木くん」「佐藤くん」の後に「田中くん」「山本さん」というスナック菓子が発売されました。皆さんは覚えていますか?

(高橋モータース@dcp)
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高橋モータース@dcp

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