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2018.04.28
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2018.04.28
「UFO(Unidentified Flying Object)」という言葉にはロマンがありますね。「未確認飛行物体」という言葉どおり、もともとは「空を飛んでいるなんだか分からないもの」は全てUFOなのですが、最近では「宇宙人の乗り物=エイリアン・クラフト」を指す言葉に変わってきたようです。
昭和の時代には矢追純一さんの「UFO特番」があったりして少年少女のみならず大人にも多大な影響を与えました。しかし、21世紀になって近年はあまりUFO話も盛り上がらなくなっています。
最近はUFOも飛ばなくなったのでしょうか!?
日本最強のデバンカー(超常現象、オカルトを懐疑的・科学的に解明しようとする人のこと)と呼ばれる皆神龍太郎先生にお話を伺いました。
最近あまりUFO関連の話が盛り上がりませんが、UFO目撃談は昔と比べて減っているのでしょうか?
「実際にUFOの目撃数が減っているかどうかは、実はよく分かりません。そもそも近年の統計がないからです。「UFOを見かけない」というより「盛り上がりがない」という感じなのではないでしょうか?」(皆神先生)
盛り上がらない理由は何でしょうか?
「1990年代まで盛り上がりがあった気がするのは、矢追特番などメディア側からの働きかけが大きかったためでしょう。近年はUFO特番という存在そのものが消えました。」(同)
なぜなくなったのでしょうね。
「視聴者のメディアリテラシーが下手に上がったので、矢追特番級のアホらしさ満載の番組が作りにくくなったということがあるでしょう。また、コンプライアンスが厳しくなって、あやしい話が放送できないというのも理由の一つではないでしょうか。」(同)
あやしい話だから面白いんですけどね。
「最新UFO映像を定期的に放映しているのは、NHKBSの『幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー』くらいですかね。何しろNHKだもんで、UFO映像のウソを暴くトリックまでちゃんと解説してくれますので、一部の方々はさらに盛り下がっているかもしれません。」(同)
海外でのUFO研究は今も盛んでしょうか?
「UFO研究者らが一番盛り上がったのが、ロズウェル事件(※1)50周年に当たる1997年でした。」(同)
取材に行きたかったですね(※2)。
「この時が最後の勝負とばかりに、全米のUFO研究者らが国会議員や米国会計検査院までをも動かして、隠蔽(いんぺい)しているUFO情報を全て吐き出すよう米政府に迫りました。
……が、結局猫の子一匹現れず。逆にロズウェル事件の証言者がホラ吹きだらけだったことが暴露されたり、ロズウェルに落ちたUFOも「プロジェクト・モーグル」(Project Mogul※3)の気球だったという説が有力となり、運動は文字どおりペシャンコに。」(同)
アメリカ空軍が発表した「ロズウェル・リポート」ですね。
「そうです。ロズウェル・リポートは1994-1995年にも発表されていますが、1997年には先の報告を補完するレポートが公表されました。
それによれば、空飛ぶ円盤は墜落していないし、従って残骸(ざんがい)・宇宙人の遺体を回収もしていない、と結論づけられています。米軍だけでなく、当時ロズウェル事件追求の旗を振っていたUFO研究者の中からも「プロジェクト・モーグル」説を認める人が出てきて、運動は急激に盛り下がりました。
それからはや20年。UFO業界はロズウェル事件を超える「スター」を見つけられないまま凋落し続けております。」(同)
なんだか寂しいですねぇ。
UFO関連が盛り上がらない理由は他にもありますか?
「「インターネットとCG技術の進歩」が最大の原因と思っています。まず、CGで何でも手軽に映像がでっち上げられるようになり、写真や動画が唯一の動かぬ証拠と言ってよかった「UFO目撃の証拠能力」がほぼゼロに落ちました。」(同)
そうですね。YouTubeでUFO映像を見ても簡単には信じませんものね。
「たとえ本物のUFO映像を撮っても「どうせCG」と言われてそれで終わり。YouTubeの中だけ今日も元気にUFOが飛び回っています(笑)。」(同)
ちなみにYouTubeで「UFO」で検索すると1,000万以上ヒットしますね(2018年4月9日現在)。
「さらにインターネットの普及で誰でも簡単にUFO情報が手に入れられるようになりました。これは諸刃の剣で、目撃情報はすぐに広まりますが、同時にその真偽の究明もすぐに開始されるようになったのです。
勘違いや作り話のUFO情報は、あっという間にデバンキングされ沈没するようになりました。UFO情報の発生と同時に突っ込みが始まり、UFO情報がUFO神話にまで昇華し熟成するような時間が取れなくなったのです。
UFOフォークロアが極めて育ちにくい時代ですから、UFO関連の話が盛り上がらないのも無理はありません。心を魅了し続けるような謎がなければ人々は熱狂しませんから。」(同)
ありがとうございました。
皮肉なことに、インターネットの普及とCG技術の進歩がUFO神話を消し去っているようです。しかし、UFO神話に一種のロマンがあることは確か。ある年齢以上の人は「たまには昔あったようなUFO特番を見たいなぁ」なんて思うかもしれませんね。
※1「ロズウェル事件」は、1947年7月アメリカ・ニューメキシコ州ロズウェルに空飛ぶ円盤が墜落したとされるもの。
※2皆神先生と筆者は某出版社の経費でロズウェル取材に出掛ける予定だったのだが、仕事の都合でどうしても行けなかった。今でも悔やまれる機会逸失である。
※3「モーグル計画」とは、米陸軍が1947-1948年に行ったとされる極秘作戦。高感度のマイクロフォンを付けた高高度気球を上げて、ソ連が核実験を行った際の音波をキャッチしようと試みた計画だった。
(高橋モータース@dcp)
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