ヒトメボ

関東学院大学教授

中村桃子

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読了時間:約3分

 先日、街で見かけた白人男性と日本人女性のカップル。彼らは英語で会話をしていました。でも、私の友だちの日本人男性とアメリカ人女性のカップルは、アメリカ人女性のほうがつたない日本語で話しているんですよね。こんな風に、国際カップルって、女性が男性に言語を合わせていることが多い気が…?

 そこで、言語学を研究されている関東学院大学教授の中村桃子先生にお話を伺ってみました!

「どの言語を話すかは、そのカップルがどこの国に住んでいるかも関係しているので一概には言えませんが、次のような理由から女性が男性に言語を合わせているということは言えるかもしれませんね」(中村先生)

女性のほうが男性よりも言語を習得する能力が高い!?

「この説の根拠は研究中でまだ解明はされていないのですが、世界各国の言語学の分野で女性のほうが外国語を習得する能力が高いと言われています。また、コミュニケーション能力も女性のほうが高いと言われており、言語に関して女性は柔軟な対応力を持っているのかもしれませんね」(同)

 この説に関して、脳科学の分野では「脳の言語を司る部分が、女性のほうが大きい」という研究結果も出ているのだとか。

男性のほうが女性より権力がある場合が多い!?

「違う言語を話す人同士が会話するとき、権力の弱い人が強い人の言語や話し方に合わせる傾向があるんです。世界的に見ても男性が家族の大黒柱であるケースが多かったり、女性の社会的地位が低かったりと、男性のほうが力を持っている場合も多いですよね」(同)

 なるほど、「国際カップルは女性が男性に言語を合わせることが多いか」について、いくつかそうである要因は考えられるものの、カップルによって男性のほうが語学に長けていたり、女性のほうが力が強かったりすれば、逆に「男性が女性に言語を合わせる」というパターンになり得るんですね。

 また、どちらの言語に合わせるかには、『言語が持つ力の差』も関係しているのだそう。

言語にも強い・弱いがある!?

「言語の強さは、シェアの大きさやその言語が話されている国の国際的な地位、経済力が関係しています。現在、世界で最も『強い言語』は、シェア的にも地位的にも英語です。また、国が経済成長している中国語も力があると思います。

その一方、『弱い言語』とされるのは、シェアが小さい日本語や韓国語、タイ語などですね。この言語の力関係を考えると、日本語、タイ語、韓国語を母国語とする男性と、アメリカやカナダなど英語圏の女性のカップルであれば、女性の国の言語に男性が合わせることもあり得るかもしれませんね」(同)

 ちなみに、日本人同士でも話す『方言』が違うことがありますが…

「方言は外国語と違って、異なる出身地同士でもある程度意味は通じるので、『どちらかの言語に合わせる』とは言い切れませんが、国際カップルと同じ傾向はあるかもしれません。また、一方が地方のマイナーな方言である場合は、それを恥じらって相手方の言葉や標準語で話そうとすることもあると思います」(同)

 なるほど、違うといっても通じないほどではなければ無理に合わせる必要性は薄いですもんね。

 男女間で言語が違ったときどちらの言語で話すかには、様々な要因が絡み合っていることが分かりました。こんな視点から周りのカップルを観察してみると、意外な関係性が分かったりして面白いかもしれませんね。

(岡本温子/short cut)
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ライター

岡本温子

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