匂いを嗅ぐと男性ホルモンが減る!? 男が女の涙に弱い理由

　男性が長い間泣いていると、たとえば彼女から「いつまでメソメソしてるの！ 男でしょ！」なんて叱り飛ばされそうなもの。しかし、彼女に対してそうした言葉を投げかける彼についてはあまり見たことないのでは？ 男は女の涙に弱い、なんて昔から言われてきましたが、それはなぜなのでしょうか。

　お話を伺ったのは、医療アナリスト兼恋愛カウンセラーとして活躍する荒牧佳代さん。面白い研究データがあるそうです。

女性の涙の匂いを嗅ぐと男性ホルモンが減る!?

「イスラエルのWeizmann Institute of Scienceという研究所の博士であるNoam Sobel氏が2011年に公開した研究結果によると、かなしい映画を見て泣いた女性の涙を試験紙に取り、男性の鼻の下に置いて匂いを嗅がせたところ、男性の体内のテストステロンの値が下がったと言います。

テストステロンとは、攻撃性や性欲を助長させる働きがある男性ホルモンの一種。その値が下がったので、『女性の涙には男性の攻撃性や性欲を抑える効果があるのでは』とされています。

しかし正直、信憑性についてはまだ足りないところが多いのも事実。涙には揮発性（蒸発しやすい性質）があるものの、目の前に座った女性が涙を流すのと、涙で濡らした試験紙を男性の鼻の下に置いて嗅がせるのとでは、濃度に大きな違いがあります。また、涙の匂いを嗅ぐ男性の年齢、体質、嗅ぐ時間の長さによって結果が違う可能性もあるため、この調査結果だけでは、一概に『涙は男性から攻撃性を奪う』とは言い切れないのです」（同）

　女性の涙に男性ホルモンの働きを抑制する効果がある可能性はあるものの、まだ断定はできないとのこと。ただし、「女性が発するシグナルで、男性ホルモンに影響を与えることは十分に考えられる」（同）とも。

男性は涙を見ると責められているように感じる…

「たとえば、月経前に表れるPMS（月経前症候群）。心身ともに敏感になり、ワケもなくイライラして攻撃的になったり、情緒不安定になったりすることがあります。性行為だけでは埋まらない心の絆を結びたがる時期でもありますから、無意識にでも心にたまった不安を男性の心に訴えかけるように勢い余って涙を流してしまうこともあるでしょう。

そういった習性をまともに受けてしまう男性は、感情を読み取ることが苦手な上に女性からの「責め」と捉えるため、性欲も減退し、自然と女性の涙に弱くなってしまうのではないでしょうか。男性が「責め」から逃げる気持ちと泣いててかわいそうだから「守ろう」とする気持ちは別物ですが、男女を結びつけようとする恋愛のシステムとしては理に適った流れではありますね」（同）

　女性が自分でもコントロールできないPMSの症状に悩まされて泣いたとき、理由のわからない男性は戸惑ってしまうもの。そういうものと割り切って接したり、敢えてそっとしておいたりと、経験を経て自分なりの教訓を得ているのかもしれません。

　とはいえ、目の前で好きな女性が泣いていれば、かわいそうだと思い心配して守ってやりたくなるのも男心なのではないでしょうか。どちらにしても、男が女の涙に弱いことには変わりなさそうです。女性の皆さんはいざというときのために涙をとっておいてもいいかもしれませんが……くれぐれも男性を困らせすぎないよう気を付けてくださいね。

(山本莉会/プレスラボ)

初出 2012/11/4