ヒトメボ

恋愛心理カウンセラー

根本裕幸

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読了時間:約5分

 楽しくデートしたり食事したり、ときには体の関係を持つことも…。ただ、自分に気がない訳ではなさそうなのに付き合ってはくれない。そんな、いわゆる「キープ」の状態。心当たりのある人はいませんか? そこで、「キープ」されてしまう心理・してしまう心理について、恋愛心理カウンセラーの根本裕幸さんにお話を伺いました。

キープされる側の心理

「男女問わず、キープされてしまう人の多くは以下の特徴のどれかに該当します。

1.自尊心が低い(自分に自信がない)

2.プライドが高い

3.相手を好きという気持ちが強すぎる

4.自分の意志を表現するのが苦手

基本的にキープされてしまう人は、恋愛体質で、相手に依存する恋愛関係になりがちな人。そのため、相手に嫌われることを恐れて、どんなわがままも受け入れてしまったり、相手の要求にNOと言えなかったりする傾向があります。これらの行為の背景には、自尊心や自己価値の低さという心理的要因があるのです。

例えば、男性は食事代を支払ったり、欲しいと要求する物を貢いだりすることで自己価値の低さを満たし、女性は安易に体を預けることで自尊心を満たそうとするのです。なので、お金をせがまれれば断りきれず支払ってしまうプライドの高さと、相手からのセックスの要求を断れず、受け入れてしまうような意志の弱さの根源は一緒と言えます。

また、相手への気持ちが強すぎる場合は、たとえキープと分かっていても幸せと感じてしまう傾向があります。好きだから何をされてもOKという気持ちは、こうしたいびつな恋愛の形を生んでしまいます」(根本さん)

 ふーむ。3や4の理由は想像つきますが、1と2のような一見異なる性格が同じ「キープ」という結果をもたらすとは意外ですね。でも、キープされるポジションで満足してしまうのはなぜでしょうか?

「実は、キープされてしまう人は大失恋がきっかけになるケースが多いのです。なぜなら大失恋の直後は、精神的支柱が損なわれてしまっているため、誰しもが自分の価値を他者に認めてほしいと感じているからです。しかし、失恋のショックから相手と深い信頼関係を結ぶことを無意識に恐れているので、『付き合ってはいないけれど、デートやセックスをする(体の関係を安易に許す)』や『喜んでアッシー君やメッシー君になる』ということが起こってしまうのです。言いかえれば、『誰かに必要とされると感じることで、自分の存在価値を見いだしたい。でも深いつながりは怖い』という表裏一体の深層心理が作用しているのです」(同)

 いびつで不安定な恋愛は精神的に弱っているときほど生まれがちだということですね…。では逆に、キープする側の心理とは?

キープする側の心理

「基本的には相手に対して『嫌いじゃないけれど、付き合うのは面倒。でも手放すのは惜しいと感じている』場合が多いです。その惜しさの多くは、女性にとっては『お金』であったり、男性にとっては『体』やいつ連絡しても会ってくれる『手軽さ』であったりします。また、キープ要員が何人もいて、恋人を作らないタイプの人は10代の頃の恋愛や家族関係などで何かしらのトラウマを抱えていて、人と深いつながりを恐れている場合もあります」(同)

 単に都合がいいからという理由だけではなく、心に深い傷を抱えていることもあるのですね。そんなケースでは、キープから本命への昇格はより難しそうに感じますが…。

「本気で交際を望むのであれは、まずは相手との距離を取ることが大切です。仮に会ってしまってもセックスをしない、食事をおごらないこと。そうすることで、相手に自分の存在を真剣に考える猶予を与えられます。もし相手にとって自分が本当に大切な存在であれば、自分の不在の意味を真剣に考え、相手の気持ちに変化が生まれる可能性があります。またそれでも向こうから交際を求めてこない、連絡がこないときは、残念ながらその人にとって、それまでの存在に過ぎなかったということになります。

また、キープやセックスフレンドが常習で、人と深い関係を築けない人ならば、自分が成熟した大人の振る舞いで、相手を包んでトラウマを解放してあげられる存在になることが重要です。ですから内面的な話や過去の心の傷を打ち明けてくれるまで、長い時間をかけて信頼関係を築いていくことが課題になりますね。

いずれにしても、相手にとって都合のいい存在であり続けるのは、いつまでたってもキープ要員から格上げされません。自分で距離を置くのが難しいときは、友人に相談したり、カウンセラーの力を借りたりして、自分の現状を客観視してもらいましょう。相手に依存する関係から正して行くよう、第三者に援助してもらうことが不可欠なのです」(同)

 ひとえにキープといっても、「される側」「する側」、両者ともに根深い心理的問題が絡んでいることがあるんですね…。読者の皆さん、ハッとする部分はありませんでしたか?

(冨手公嘉/verb)
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ライター

冨手公嘉

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