ヒトメボ

作家

伊藤洋介

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 「毎週末は海外旅行」、「万券でタクシーを捕まえる」、「ボーナスの紙袋が立った!」など、もはや都市伝説としか思えないエピソードが残るバブル時代。日本中が好景気に盛り上がった1986年から1991年の5年間のことを指しますが、実際この時代の若者たちは、どんなデートや出会い方をしていたんでしょうか?

 その実態を知るべく、当時のことをよく知る「バブルアゲイン」の著者・伊藤洋介さんに話を伺いました。伊藤さんは1988年に新卒で山一證券に入社したという、まさにバブルの申し子! 当時のイケてるデートって、どんな感じだったんですか?

「バブル全盛期のイケてるデートと言ったら、やっぱりイタメシですね。平日だと仕事が終わった19時ごろに六本木や西麻布で待ち合わせて、イタメシを食べる。今もある、麻布の『レストランキャンティ』などが定番でした。その後は、近場のBARで軽飲みをして、シティホテルで一夜を明かすというのがお決まりのコースでした。もちろん、シティホテルは毎回ではないですけどね」(伊藤さん)

 ゴハンに誘ってBARで飲んでホテルへ…という流れは、現代とそんなに変わりはないように思えますが、当時はデートの局所にバブルならではの特徴があったそう。そこで、当時の恋愛を語るに外せないキーワードを教えてもらいました!

シティホテル

「赤坂プリンス、全日空ホテル、ホテルニューオータニ、ホテルオークラなどが定番でした。今ほど、シティホテルが多くなかったため、デートで使うホテルは限られていました。特にクリスマスの人気はすさまじく、8月頃からホテルの部屋を複数予約して、12月のピーク時に売りに出して儲けている人もいたほどです」(同)

 現代に置き換えると、「クリスマスのホテル宿泊予約権をネットオークションに出す」という感覚でしょうか…。お家でしっぽりとクリスマスを祝うカップルが増えている最近の傾向と比べると、イベントにかける意気込みやテンションの高さを感じますね。

ティファニーのオープンハート

「バブル時代のクリスマスの定番プレゼントと言ったらコレです。クリスマス前のティファニーは、オープンハートを求める男性でいっぱい。みんなこぞってイブのディナーで渡そうとするのですが、そのタイミングもまったく同じ(笑)。デザートが運ばれる前に男性陣が一斉にティファニーの水色の箱を取り出すんです。横を見ると『お前もか!』って! いま思うとおかしな光景でしたね」(同)

 今でもプレゼントの定番はありますが、レストランにいる大半の人がカブるほどのものは思い浮かびません。バブル期のように「これをプレゼントすれば間違いない!」というものがないだけに、現代はプレゼント選びの苦労もひとしおと言ったところでしょうか。

「当時の女性陣は『男性は車を持っていて当然当たり前』という考えでしたね。しかも外車が当たり前でした。新卒でベンツ、ポルシェ、BMWなどが買えるんだから、すごい時代ですよね…。女性はナンバーまで見ていて、品●ナンバー、●浜ナンバーはOK。足●ナンバーだとNGとか…、そんな基準もありましたね」(同)

 若者が車を持たなくなったと言われる時代だけに、このエピソードはもっとも若者が共感しにくいのかも…。当時は車もアクセサリーの一部というような感覚だったのかもしれません。

ディスコ

「ディスコと言えば青山の『キング&クイーン(通称・キンクィ)』に、よく行ってました。週末は、お立ち台で踊るボディコンギャルでいっぱい。男性陣はシャンパンを飲みながらそのギャルを眺めつつ、いい子がいれば即ナンパです。VIP席の常連になることは、ある種のステータスでした。当時は、不動産、広告代理店、証券といった羽振りのいい業種の人たちがその場所を占拠していましたね」(同)

 今ではクラブがディスコにとって代わっていますが、夜の遊び場としての立ち位置や「VIP席がステータス」といった点は現代にも共通していますね。ちなみに、バブルのイメージが強い「ジュリアナ東京」は、バブル崩壊後の1991年のオープンだそうです。

 こうやってキーワードを見ていくと、シティホテルやしっかりとプレゼントを渡そうとする姿勢など、一つひとつのエピソードが、とても“ゴージャス”な印象です。そして、恋愛に対してとてもエネルギッシュに感じますよね。ゴージャスさはちょっと難しいかもしれませんが…このエネルギッシュさは、見習いたいものです。

(船山壮太/verb)
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ライター

船山壮太

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