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2019.05.23
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2019.05.23
皆さんは、昔の小学校の給食風景で「三角の形をした四面体のパック牛乳」を見たことはありませんか? 古いニュース映像や昭和が舞台のアニメなど、さまざまなシーンで目にしますが、現在はまず見掛けることがありませんよね。では、なぜ三角パックの牛乳は消えてしまったのでしょうか? 今回は、三角パックの牛乳が使われるようになった理由、消えてしまった理由、現在はどうなっているのかを調べてみました。
三角型のパックは正式には「テトラ・クラシック」といいます。『テトラパック』というスウェーデンの企業が1952年に開発したもので、シンプルな形状で製造がしやすく、必要とする材料をムダなく利用できるので世界中で使われるようになりました。低コストで製造できることから、飲料だけでなくお菓子のパッケージなどさまざまな商品で今もよく使われているデザインです。
日本乳業協会に取材したところ、日本には1956年に紹介され、すぐに協同乳業が製造を開始しました。しかし、当時はまだ冷蔵庫が普及しておらず導入が早すぎたそうです。その後、1964年の東京オリンピックの選手村で提供され、1966年に鳥取県で給食に導入されました。そこから全国に広がったそうです。またスーパーマーケットの登場も紙容器の普及につながったといいます。
しかし、三角パックの牛乳はその特殊な形状から積み上げることが難しく、また搬送するのに六角形の専用ケースが必要になるなど、輸送効率の悪さが大きなネックでした。そのため1980年ごろに現在多く見掛けるブリックタイプ(四角い形状)の牛乳が広く使われるようになり、三角パックの牛乳は給食から姿を消しました。
給食で使われなくなってからもテトラ・クラシックの飲料は製造され続けてきましたが、2004年ごろに完全に製造中止となりました。その理由は、機械のメンテナンスが不可能になったことです。実は1999年にメーカーが機械の製造を終了しており、これ以上部品の供給や機械のメンテナンスが続けられないということで、最後まで生産していた3社が同時に中止したのだそうです。
国内では2004年に製造中止となった三角パックの飲料ですが、2014年に一度アルミ入りの常温保存ができる新容器として復刻したものの現在は市場に出ていません。ただ、「ポリエチレン製」の三角パックの牛乳なら、北海道の株式会社べつかい乳業興社と北海道酪農公社の2社が製造しています。現地での購入やお取り寄せのほか、デパートやスーパーの北海道フェアなどでも手に入ります。コンビニで売っていることもあるので、懐かしい三角の牛乳を試したい人にはお薦めです。
生産効率の良さから爆発的に広まるも、運送効率の悪さがネックとなって廃れてしまったテトラパックの牛乳。その歴史をたどると、給食で使われたのはわずか10年ちょっとと、あまり長くありませんでした。それでも、多くの人の記憶に残っているのはすごいことですよね。上述のように、ポリエチレン製の三角パックの牛乳なら今でも手に入るので、興味がある人は試してみるといいですね。
取材協力:一般社団法人日本乳業協会
(中田ボンベ@dcp)
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