ヒトメボ

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中学や高校時代、学校指定の靴として『ジャガーΣ(シグマ)』という運動靴を履いていた人は少なくないはず。また、名称は知らなかったけれど写真の靴には見覚えがあるという人もいるかもしれませんね。今回は、この『ジャガーΣ』の誕生の経緯や、多くの学校で指定靴に選ばれるようになった理由を、販売元の『株式会社ムーンスター』に伺いました。

どのような経緯で『ジャガーΣ』は誕生したか

――『ジャガーΣ』はどのような経緯で生まれたのですか?

弊社は、1950年代にオリンピック選手に提供する本格的な競技用シューズを展開し、1960年代にはより大衆向けにテニス、サッカーなどの各競技用シューズを発売しました。その後、1973年(昭和48年)に、以前より展開していたスポーツシューズを集約したカテゴリーとして『ジャガー』シリーズの展開を開始しました。

――ジャガーシリーズ自体は1973年に誕生したものなのですね。

『ジャガーΣ』はジャガーシリーズの1商品として、1980年(昭和55年)に発売したものです。最初のモデルは『ジャガーΣ01』で、「軽量性に特化した」のが最大のポイントでした。また、軽さだけでなく、衝撃吸収性、耐久性を同時に実現したモデルでしたので、運動量の多い中高生にお薦めしたい商品として提案しました。

多くの学校で指定靴に選ばれるようになった経緯

――『ジャガーΣ』は多くの学校で指定靴に選ばれ、実際に学生時代に履いていたという人も多くいます。そうした学校指定靴に選ばれるようになった経緯を教えてください。

詳しい経緯は資料としては残っていないですが、弊社は1950、60年代ごろから上履きを展開していたため、学校用品を販売する小売店とのつながりが強かったこと、比較的低単価で安定した品質の商品を提供できたことから、学校指定(推奨)品とされることが多かったのでしょう。発売当初から中高生向けとしていたものの、学校用と限定したわけではなく、それより上の世代の大人の方からも購入いただいていました。

――学校用品の小売店とのパイプが強かったなど、諸条件が重なった結果なのですね。

そもそも、制服など学校指定品がある理由はさまざまがあるかと思います。全員が同じもの身に着けることで愛校心を醸成する、秩序・規律を守る、経済的格差を顕在化させない、などですね。その中でも、特に履物においては生徒の動きにあったもの、華美でないもの、ある程度の耐久性があり、それに見合った価格であることなどの条件が挙げられます。『ジャガーΣ』は、その条件に合った商品だったことから、指定や推奨を受けるようになったのではないでしょうか。

こだわった点や工夫した点

――『ジャガーΣ』を開発する際にこだわった点、工夫した点を教えてください。

最大の特徴は軽量性です。1980年当時としては画期的な片足(サイズ25cm)175gの軽さを実現しています。それを可能にしたのが独自開発された発泡ウレタンソールです。衝撃吸収性に優れた素材で、軽さがありながらウレタンソールの弱点である耐摩耗性も確保したソールになっています。

――確かにものすごく軽かったのを覚えていますね。

他にも、履き口にウレタン芯を入れてアキレス腱に当たる部分を柔らかくしたり、汗の吸湿に優れたパイル地の中底を使用したり、爪先を補強するデザインにしていたりと、学生の激しい動きにも対応する作りになっています。

――発売時の反響はどうでしたか?

当時は軽くて運動に適した、機能的な商品として初年度から広く販売されたようです。1980年代にはTVCMや雑誌広告などPRも強化した結果、小中学生から大人まで幅広い年代に履いていただけました。

「ジャガーΣ」の現在

――現在、「ジャガーΣ」はどのようになっていますか?

現在のジャガーΣ主なラインナップは以下のとおりです。

ジャガーΣ03(面ファスナー)

ジャガーΣ04(紐/つま先やかかとが起毛調)

ジャガーΣ04CL(紐/スムース合皮)

ジャガーΣセーフ06(反射材付)

特に「Σ03」「Σ04」は1983年(昭和58年)発売のロングセラー商品です。時代と共に使用する素材をアップデートするなどマイナーチェンジはありますが、当時と変わらない形で販売しています。

――今後どのような展開を予定されていますか?

2018年春夏より展開スタートした『SKOOLER(スクーラー)』というブランドラインで、これまでの商品をリモデルしたものを展開しており、『ジャガーΣ04』をベースにした『SK SIGMA』という商品があります。シルエットや素材、カラーリングを一新し、懐かしさの中に、どこか新しさを感じる商品に仕上がっています。学生の頃に履いていたという人には懐かしく、まだ履いたことのない現在の10代20代の人にはレトロな雰囲気が逆に新鮮に映っているようです。

――昨今は「懐かしいけど新しい」というテーマの商品が若者層に注目されていますから、『SK SIGMA』も若い世代に刺さりそうですね。

そうなるとうれしいですね。また、弊社ではその他にも学校用品も多く展開しています。これまでの30、40年以上にわたる開発ノウハウを生かし、学校生活に適した靴の提案を今後も続けていきます。

「ジャガーΣ」はリピーターが多い

――最後に、学生時代にジャガーΣを履いていた人たちにコメントをお願いします。

「Σ03」や「Σ04」は現在も形を変えず販売しており、学校用品として現在も指定、推奨されています。また、学校用品に限らず、その軽さ、耐久性などを評価いただき、20年30年来のリピーターという人も多くいらっしゃいます。学生の動きに耐えうる機能性とコストパフォーマンスだけでなく、実は日本製という品質の面も魅力的な商品ですので、ぜひ年齢を問わず足を通してみていただきたいです。

――ありがとうございました。

ムーンスターの『ジャガー』が多くの学校で指定(推奨)されたのは、メーカーと学校をつなぐ小売店とのパイプが強かったことや、学生の運動靴として求められる条件を満たしていたことが要因とのこと。確かに軽くて丈夫でしたし、履きやすかったですから、今思うと納得ですね。「Σ03」や「Σ04」など現在も販売されているモデルのほか、現代ナイズされた『SK SIGMA』もあるとのこと。大人になった今履くとどう感じるのか、この機会に試してみてはいかがですか?

取材協力:株式会社ムーンスター

https://www.moonstar.co.jp/

(中田ボンベ@dcp)
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中田ボンベ@dcp

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