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2018.10.27
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1988年に『タカラトミー(当時:タカラ)』から発売されたおもちゃ、『フラワーロック』。「サングラスを掛けたヒマワリ」が音に反応して踊る、という商品で、当時かなりの大ヒットを記録しました。もしかすると、「自分も持っていた」という人も多いかもしれません。今回は『フラワーロック』について、誕生の背景やブームのきっかけなどを調べてみました。
『フラワーロック』は、「サングラスを掛けた鉢植えの花」という姿のおもちゃです。内部にセンサーを搭載しており、近くで音がすると反応し、まるで踊っているように動きました。そのため、オーディオ機器の近くや自動車の中に置いていた人が多かったです。
『フラワーロック』が発売される1年前、テレビアニメ『のらくろクン』のグッズとして『のらくろロック』が発売されました。仕組みは後に出る『フラワーロック』と同じで、のらくろの人形が音に合わせて動くものでした。
もともと子ども向けの商品として開発された『のらくろロック』は発売後、子どもだけでなく20代のOLを中心とした大人の間でも人気になりました。当時は大人がおもちゃを買うということは非常に珍しい現象で、「大人がおもちゃを買うなんて!」とタカラトミー内でも大きな衝撃が走ったそうです。この商品のヒットがきっかけとなり、年齢に関係なく楽しめる玩具である『フラワーロック』が開発されたといいます。
また、この商品は「人とモノとの心(ハート)の触れ合いを豊かにする『ハーティー・コミュニケーション』」をコンセプトとして生み出されたそうです。タカラトミーによると、「それまで『子どもの物』と考えられていた玩具を通して得た感動や驚きが、子ども大人に関係なく、人と人の心(ハート)をつなげる玩具になってほしいという思いが込められています」とのこと。
現在タカラトミーでは『フラワーロック』を「ハーティー・トイ」の先駆と位置付けています。
『フラワーロック』は当時の20〜30代の人を中心に、全世界で850万個を売り上げました。『フラワーロック』の前で手を叩いたり声を出したりすると反応して動くので、それにつられて興味を持った人がたくさんいました。おもちゃの仕組みはシンプルですが、デザインのユニークさ、動きのコミカルさが若者のハートをつかみ、大ヒット商品になったといわれています。
また、『フラワーロック』の動きは人の目を引くため、集客のために店頭に設置するお店もありました。昔、飲食店や美容院などで『フラワーロック』を見たことがある人もいるのではないでしょうか。単なる家庭用おもちゃとしてだけではなく、このような使い方がされたこともヒットの要因だと考えられます。
『フラワーロック』には、似たコンセプトの姉妹品が幾つかありました。'90年に発売された『ミュージカン』は、清涼飲料の缶をモチーフにしたおもちゃで、サングラスを掛けた缶が音に反応して踊るというもの。
「音」ではなく「光」に反応するおもちゃもありました。小型の植木鉢を模した『フラワーキューブ』、サボテンの『サボキューブ』、キノコの『マッシュキューブ』などで、これらには太陽電池が取り付けられており、光に反応してゆらゆらと動く仕組みでした。
また、2008年には『フラワーロック』の進化版『フラワーロック2.0』が発売されました。初代の『フラワーロック』との違いは、以下のような点でした。
平面フルカラーLEDにより、音楽に合わせて花びらや葉っぱが様々な色に光ります。光り方には7種類のモードがあり、切り換えが可能です。
スピーカーとLINE入力端子が付いており、LINE出力のできる機器の外部スピーカーとして利用できます。付属のコードを使って2台の『フラワーロック2.0』を接続すれば、ステレオ再生も可能です(1台の場合はモノラル再生になります)。
『フラワーロック2.0』はタカラトミーだけでなく、三洋電機のデザインチームとのコラボレーションによるデザインです。三洋電機には2006年度の「グッドデザイン賞金賞」、2007年度の「グッドデザイン大賞」受賞の実績があります。
※現在タカラトミーでは『フラワーロック』『フラワーロック2.0』『ミュージカン』『フラワーキューブ』『サボキューブ』『マッシュキューブ』のいずれも販売していません。
『フラワーロック』はゲーム性のあるおもちゃではありませんが、音楽に合わせて踊っているようなコミカルな動きをぼんやり眺めているだけでも楽しむことができました。『フラワーロック』がまだ家にあるなら、スピーカーの近くに置いてみると、ちょっとしたストレス解消になるかもしれませんよ。
取材協力:株式会社タカラトミー
(C)Phot:TOMY
(藤野晶@dcp)
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