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2018.06.17
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子供のころ、たとえば少年ジャンプなどの漫画誌で「ひ弱な男性がトレーニング器具を使ってムキムキになり、女の子にモテモテになる」という広告を見たことがあるはず。その広告に登場するトレーニング器具こそ「ブルワーカー」です。では、現在のブルワーカーについてはご存じですか? 今回、ブルワーカーの販売のほかブランディングを担当している株式会社PIO(ピーアイオー)の河野公司さんにお話を伺いました。
かつてはトレーニング器具といえば海外製のものが多かったため、ブルワーカーも海外製のものを日本の代理店が販売しているのだと思っていた人もいるかもしれません。しかしブルワーカーはドイツ人のケルベル氏の発明であるものの、日本で販売されているものは日本製なのです。
ーなぜブルワーカーが日本で販売されるようになったのですか?
河野さん:日本製のブルワーカーが誕生したのは1965年のことです。当時、アメリカなどではすでに海外メーカー製のブルワーカーが販売されていたのですが、日本メール・オーダーという会社の社長が「日本でも販売しよう」と権利を購入しました。
ただ、権利を買ったもののどこで作ろうかとなったわけです。そこで日本メール・オーダーの社長は、知人が社長を務める『福島発條製作所』(現:株式会社福発メタル)に製作を依頼しました。福島発條製作所はバネ作りを行う会社で、当時はエキスパンダー、ハンドグリップなども製造していました。
ーエキスパンダーも懐かしいトレーニング器具ですね。
河野さん:福島発條製作所がモノ作りに長けていたこともあり、日本メール・オーダー社と協力して日本製のブルワーカーを開発したのです。それから53年を経過した今も、ブルワーカーは福発メタルで製造されており、多くの人に愛されています。
ー半世紀もの歴史があるトレーニング器具だったのですね。それは知りませんでした。
ー発売当時は非常に高級品だったと聞いたことがあります。
河野さん:ブルワーカーの価格は9,800円でした。これは当時の大学生の初任給の半分くらいです。それくらい高級なものだったのですよ。
ー現在だと約10万円くらいですね……。でもそんなに高いと売れないのではないですか?
河野さん:実はブルワーカーは販売する際に、日本メール・オーダーが「割賦販売」を導入したんです。
ー代金を分割して支払う、いわゆる分割購入ですね。
河野さん:そうです。当時、ブルワーカーは通信販売で売られていて、通信販売自体も珍しかったのですが、通信販売に割賦販売を導入するのもまだ目新しく、これも注目されました。
ーなるほど。興味を持った人が買いやすいような工夫が盛り込まれていたのですか。
河野さん:日本メール・オーダーの社長さんは非常に優れたビジネスマンだったのだと思います。漫画広告も画期的なものでしたからね。
ーやはり30代、40代の世代にとっては、漫画雑誌に掲載されていたブルワーカーの漫画広告が印象的です。
河野さん:あれも非常に優れた販売戦略なんですよ。掲載は週刊誌だったと思うんですけど、掲載すれば次の号が出るまで一週間広告が出続ける。そして当時は床屋さんや飲食店さんなど男性が足を運ぶお店には、何週間か分の週刊漫画雑誌が置かれていたので、非常に目につきやすかったんです。
ー確かに訴求したい層に見事にマッチしていますね。
河野さん:漫画自体も当時のアメリカの漫画風で印象が強かったですから、非常にウケましたね。
ー今でも漫画広告を覚えている人が非常に多いのがその証でしょう。
河野さん:漫画広告がウケていたタイミングで、「14日間のお試し」を導入したのも大きかったですね。1979年〜1980年ごろですが、売り上げが非常に伸びたそうです。ちなみに漫画の主人公だったヒロシくんが大人になってからの漫画も展開する予定ですよ。
ーそうなんですね!? 当時の漫画を覚えている人の反響は大きいでしょうね!
ーブルワーカーは現在どのように展開しているのでしょうか?
河野さん:ブルワーカーは「X2」から始まり「X3」「X5」「X6」「X7」とモデルチェンジしてきました。特にX5は、サイドのベルトが1本から2本になり、運動パターンもより豊富になりました。そして現在は「XO」というバージョンを販売しています。
ーハードやソフトといったバネの強さが異なる商品もあるのですね。
河野さん:ソフトタイプはX5から追加されたものです。ソフトタイプはそこまで強い力をかけなくてもトレーニングできるので、女性や高齢者の方に人気です。ただ、男性でもソフトタイプは「達成感」を味わいやすいのでお勧めですよ。
ーベルト部分が2本になったりどんどん進化しているのですね。私が昔雑誌で見たものよりもスタイリッシュになっているように思います。
河野さん:見た目だけでなく構造、部品も「より効果的に、より使いやすいように」と改良したり新しい技術を取り入れたりしています。ランニングチェンジを繰り返しながら進化していますよ。
一つのブランドで半世紀以上歴史がある商品ってあまりないですからね。昔ブルワーカーでトレーニングをしていた、という人からも応援のコメントをもらうこともありますから、これからもブルワーカーのブランドを維持するよう、「こだわり」を持って取り組んで行きます。
ーいま53年ですから、目指すは100年ですね。
河野さん:そうですね。まずは1世紀を目指したいと思います。ちなみにブルワーカー以外では、「ぶら下がり健康器」や「ハンドグリップ」、また「腕相撲用トレーニング器」や握り手が500gの重さの「とびなわアレイ」といった商品もブルワーカーブランドとして展開しています。これらもブルワーカーと同じく、細かいところまでこだわっている商品なので、ぜひ試してもらいたいですね。
子供のころに漫画雑誌の広告で見ていたブルワーカー。現在も進化しながら広く展開しているとのことでした。昨今は筋トレ女子などにも注目されているそうですが、男性も負けずにブルワーカーでトレーニングしてみてはどうでしょうか? きっと「まったく・簡・単だ」とコメントしたくなるに違いありませんよ。
取材協力:株式会社PIO
(中田ボンベ@dcp)
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