ヒトメボ

着物スタイリスト

秋月洋子

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 この夏、浴衣でお出かけの予定がある人もいるのでは? やっぱり花火大会や夏祭りなどのイベントでは、ぜひ浴衣を着てみたいものです。でも、ふだんとは違う装いには緊張もしますし、着こなすのって難しいですよね……。そこで「浴衣をより魅力的に着こなすポイント」を、着物スタイリストの秋月洋子さんに教えていただきました!

【着こなし方・所作】

姿勢

「浴衣では、猫背は厳禁。胸元が崩れやすくなり、老けて見えます。背中の左右の肩甲骨を寄せて下げるような意識で軽く胸を張り、下腹を引いておなかが出ないように気をつけましょう。足の裏の親指の付け根で立ち、天井から頭のてっぺんを糸で吊られているような感じですっと立つと軽く前傾姿勢になりますが、これが和装のきれいな立ち方です」(秋月さん・以下同)

歩き方

「歩くときは内股で、歩幅をいつもより小さめに。下駄は引きずらないように気を付けましょう。男性も女性も、鼻緒を親指の付け根まで深く入れず、指の長さの中間くらいのところでツボ(鼻緒の中心)を挟むのが本来の履き方。かかとが少し出るくらいがちょうどよいサイズです」(同)

座り方

「椅子に座るときは帯をつぶさないよう、浅めに腰掛けます。椅子の前に立ち、体の正面のもものあたりをかるくつまみ、裾をほんの少し持ち上げるようにしながら座ると着崩れせずきれいに座れますよ。ソファなど体が沈む椅子は、座ると猫背になり、着崩れてしまうだけでなく圧迫されて苦しいので、なるべく固めの椅子を選んで腰から上をすっと立てた状態で座りましょう」(同)

食事

「膝の上に大きめのハンカチやナプキンを広げ、汚さないように注意して。遠くのものをとるときは、袂でものを倒さぬよう片手で袖口を軽く押さえながら行いましょう。電車のつり革を持つときや、タクシーを止めるときも同様。そのまま腕をあげると、袖が落ちて腕が全開に見えてしまい、美しくありません」(同)

【持ち物・装飾】

アクセサリー

「普段と同じものをつけている人も多いかと思いますが、浴衣は首回りをすっきりさせた方が素敵なので、ネックレスは避けるのが◎。時計も革ベルトなどは暑苦しい印象になりがちなので、ないほうが素敵です。どうしても必要なら、ブレスレットタイプなどの繊細な雰囲気のものを選ぶといいでしょう。ガラスや天然石など、涼やかで透明感のある素材のリングや小さめのピアスは浴衣にも似合います」(同)

バッグ

「肩からかけるタイプは避け、手で下げられる小ぶりなものを。手首やひじにかけるのは、袖がシワになってしまうので避けましょう。和物の巾着以外にも、普段使っているかごバッグや小さめのクラッチなど、重い素材ではなく夏らしい軽やかな印象のバッグなら洋装のものでも似合いますよ」(同)

メイク

「浴衣はとにかく涼やかさと清潔感がいちばん。本来、湯上りに着るものでもありますし、素肌のようなナチュラルメイクが素敵です。ファンデーションも厚塗りしすぎず、色もできるだけ抑え、でも手を抜くのではなく透明感のある肌や陰影のある切れ長の目元、濡れたような艶のある唇など、細部にこだわって。ふだんしっかりメイクをしている人ほど、そのギャップがかえって色っぽさを醸し出します」(同)

ヘアスタイル

「うなじの美しさは重要なポイントなので、隠さずアップにするほうが涼やかで素敵です。おろす場合でも、片側に寄せたり、ボブやショートの人は耳にかけるなど、すっきりとした雰囲気に仕上げて。浴衣は洋服より露出が少ないため、首周りを隠してしまうと全体に暑苦しく、やぼったく見えます。また、太って見える原因にも」(同)

 持ち物もヘアメイクも、浴衣の雰囲気を壊さぬよう、すっきり涼やかな印象を心がけたいですね。

 最後に、覚えておきたい「浴衣を着るときの注意点」を教えていただきました。

下着は浴衣専用のものか、ベージュなどの薄い色、ラインが目立たないものを選び、透け防止を心がける。

左前(自分の右側が上になっている状態)に着ない。亡くなった人用の着せ方なので、間違えないよう『胸元に右手が入る』と覚えておけばOK。

手ぬぐいor大きめのハンカチをバッグの中に常備。男性も、女性がベンチに座る際にさっと敷いてあげれば好感度アップ!

下駄ずれ対策に絆創膏は必須。もしくは下駄をはく前に、足の甲にパウダーを軽くはたいておくとずれを防止できる。

男女ともに、扇子1本で大人の雰囲気に。女性はあまりバタバタ仰がず、顔の斜め下から軽く仰ぐようにするとしとやかな印象。暑さ対策として、冷却シートなどをあらかじめ肩甲骨のあたりに貼っておくのも手!

 ここまで押さえておけば、きっと浴衣姿に自信が持てること間違いなし! 浴衣姿でふだんとのギャップを演出し、夏だからこその特別な魅力を存分に発揮してくださいね。

(池田香織/verb)
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ライター

池田香織

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