ヒトメボ

心理学者

藤掛明

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 雨の日って、なんとなく気分が落ち込んだり、物思いにふけってしまいがちですよね。もしかして、雨と心にはなにか関係があるのかしら? 『雨降りの心理学』の著者で、心理学者の藤掛明先生にお話を伺いました。

「たしかに、雨と心には深い結びつきがあると思いますね。私は長年、『雨の日の思い出にはどんなものがある?』『雨って聞くと、何を思い浮かべる?』という質問をして、心理状態を読み解く研究をしています。欧米でも『雨に対するイメージ』を分析することで、その人のストレスの度合いをはかる研究がされているんですよ」(藤掛先生)

 ということは、「雨って聞くと、何を思い浮かべる?」という質問をすれば、その人の心のうちを探れるってこと? それは是非やってみたい! そこで、「雨の日にまつわる思い出」と心理状態について詳しく教えてもらいました。

【雨に濡れてイヤな気持ちになった、雨で予定がキャンセルになりガッカリした】

「『雨といえば…?』と聞いて、こういった『雨によって受けたマイナスの思い出』を語る人は、雨が自分を邪魔する『圧力』だと感じ、実生活でもストレスを抱えている可能性が高いですね。例えば、『仕事で営業回りをしている時に、ひどい雨が降ってきて大変だった』という思い出を真っ先に語る人は、仕事を『圧力』と感じている傾向があるんです」(同)

【他の人と傘がぶつかってイヤな気持ちになった】

「同じマイナスの思い出でも、『傘』が登場する例は少し意味合いが違ってきます。傘は『外の世界と自分を遮断するもの』。つまり傘の中は、『自分だけの世界』なんです。この思い出を語る人は、自分の世界に誰かが踏み込んでくることを嫌がり、対人関係においてデリケートになっている傾向があります。人間関係をわずらわしく感じ、『ひとりになりたい』という気持ちが強くなっていると考えられますね」(同)

【雨の日に何かを成し遂げた、雨の日に大きな決断をした】

「このような『雨の日にプラスの体験をした』と語る人は、雨に対して自分の過去を洗い流してくれる『浄化』のイメージや、『人生の節目』を象徴するものというイメージを持っています。結婚や転職など、恋愛面や仕事面で大きな転機を迎え、『再出発』を考えている人は、この種の思い出を語る場合が多いですね。また、その思い出やイメージを語っている時に『その後、降っていた雨があがったんだ』といった話が出てくる人は、再出発に対して明るい見通しを持っていると分析することもできますよ」(同)

【幼い頃、親の傘の中に入っていた】

「『雨にまつわる思い出』を聞いたとき、幼い頃に親の傘に入っている場面を話す人も少なくありません。これは、『親が雨から自分を守ってくれている』イメージですね。こういう人は、親であったり、会社であったりと『親的なもの』に『保護されたい』という気持ちが強い傾向がありますね」(同)

【雨宿りをしていた】

「自分で傘を買って雨をしのぐのではなく、雨宿りをする場面を思い出す人は、『他力本願』な気持ちを抱いていると考えられます。雨という『危機』に対して、受け身の状態なんですね。こういう人は、仕事が上手くいかなかったり、プライベートで問題が起こったりしたときに、自分から解決策を探すというよりは、なりゆきに任せる傾向にありますね」(同)

 『雨』の思い出には、様々な心理状態が隠されているんですね!

雨の日の思い出の登場人物は?

 さらに、雨の日の思い出は「本人の他に誰が出てくる?」と聞くことも重要だそう。

「思い出の登場人物は、その人にとって、いい意味でも悪い意味でも『思い入れの強い人』なんです。例えば、『旅行に行ったとき、あいにく雨で…。でも、傘を差しながら友達とお散歩したのは楽しかったな』という良い思い出として語る場合は、その友達を『信頼のおける親友』と捉えていると考えられます。また、『雨の日でも一生懸命仕事をしていた〇〇さんのことを思い出す』というような思い出の場合も、その〇〇さんを憧れの対象と思っていると言えますね」(同)

 逆に「雨の日にイヤな思いをした」という、あまり良くない思い出に登場する他者に対しては、「苦手と感じていたり、自分にプレッシャーを与える人」と捉えているのだとか…。

「こういった『雨』についての質問は、恋愛に置き換えることもできますよ。恋人が自分のことをどう思っているかを知りたいときは、ふたりの『雨』に関する思い出について聞いてみてください。例えば、過去にあった雨の日のデートを『雨で大変だったけど、楽しかったね』とプラスに捉えている場合は、二人の関係は良好と考えてよいと思います。一方、『あの日は大変だった。もう二度とあんな思いをしたくないよね』というようなことを語ったときは、恋人があなたとの関係に不安を覚えている可能性がありますね」(同)

 そ、そうなんですね。これを聞くのにはけっこう勇気がいりそうです…。

雨の日の思い出は記憶に深く刻まれる

「ちなみに、雨の日の出来事は記憶に残りやすい傾向があります。というのも、雨は見たり、触ったり、匂いを嗅いだりと、五感で感じられるものなので、起こった出来事をより印象深いものにしてくれる効果があるんですよ」(同)

 ということは、つまり、雨の日だからこそ恋人と一緒に出かけたり、二人でお家にこもって思い出を語ったりすれば、記憶に残りやすいし、絆を深めることができるのかもしれませんね! 次の雨の日は、あの人に連絡してみようかな♪

(岡本温子/short cut)
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ライター

岡本温子

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