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2015.11.28
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2015.11.28
みなさんは好きな芸能人はいますか? 手が届かないとわかっていても、理想の人だったり、夢や元気を与えてくれる人だったり…。忘れていたときめきを思い出させてくれたりすることもあるでしょう。でも、たとえば結婚後、パートナーが芸能人にドハマり…なんてことになると、お互いに気持ちが離れてしまうこともあるかもしれません。さて、ではこの「芸能人の追っかけ」を理由にして、離婚をすることはできるのでしょうか?
そもそもどんな理由であれ、相手が応じてくれるのであれば離婚はできます。
でも、応じてくれないときは調停や審判、裁判で離婚請求をしなければいけません。裁判所で認められる離婚の理由は民法で5つが規定されており、浮気もその1つです。
法律上、離婚原因になる浮気を「不貞行為」と呼びますが、これは配偶者のいる人が、自分の意思で配偶者以外の第三者の異性と性的関係を持つこととされています。
「心の浮気」と言いたくなる気持ちはわかるものの、たとえば単に妻が芸能人にドはまりし「あなたよりAくんが好きなの」などと言い出しただけなら、一方的に追いかけてるだけで相手と性的関係を持ったり親密になったことはないでしょうから、不貞行為にはなりません。もちろん、性的関係があるなら別ですが…。
単に心変わりが原因となって、夫婦仲が悪化して別居をしたり、修復不可能なまでに破綻していたりすると、「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」ということで離婚の理由になることはあります。
ただ、そもそも婚姻破綻の原因をつくった側(有責配偶者)からの離婚請求は原則として認められません。長期間の別居、未成熟な子どもがいない、相手が精神的、社会的、経済的に大きなダメージを受けないという条件を満たしていれば認められることもありますが、今回は難しそうですね。
夫が稼いだお金を追っかけにつぎこむ妻。離婚が認められるかは「どの程度つぎこんでいるか」が問題です。夫がお金を稼いでいたとしても、生活に支障のないお小遣いの範囲でグッズを買って、追っかけをしている。そして「家事や育児はちゃんとやっている」なら離婚は認められないでしょう。少なくとも、夫の稼いだお金だから妻は一切自由に使えないなんてナンセンスです。(もちろん、妻が稼いだお金を夫が追っかけにつぎこんでいる場合も同じです)
しかし、例えば、ハマる期間が長期間に及んできて、夫からの注意があったにもかかわらず改善がなされない。家事も育児もほったらかしで何日も家を空け、グッズのために多額の生活費をつぎこんだり借金をしたりと浪費がひどく、夫婦仲も修復不可能となると、離婚原因の1つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして、認められる可能性があります。
また、「そのお金を取り戻せるか」についてですが、離婚のときは共有財産を二人で分ける財産分与をします。その際、妻が使い込んだ金額が家計の収入、貯蓄、使途等と照らして、明らかに浪費が過ぎているとなると、使い込んだ分のお金を持ち戻して分与、清算することがあります。
結婚後もお互いに趣味を持つことはよいことですが、必ずしも相手の趣味を共感できないときもあるでしょう。でも、話し合って尊重しあい、譲歩しあい、二人の違いをすり合わせていくのが結婚であり夫婦です。度が過ぎた妻の行動は問題ですが、そうなるまでには夫や家庭に対する不満や悩みなどが隠れているかもしれません。離婚の前に、まずは家計の状況をちゃんと説明し、夫婦で冷静に話し合うこと、度が過ぎていることはきっちり注意をしてやめてほしいと伝えるのがよいのではないでしょうか。
(正木裕美 弁護士/アディーレ法律事務所)
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