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日本発声教育協会 理事

堀澤麻衣子

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 恋人に対して「どうして自分の気持ちを分かってくれないんだろう」と腹が立ったり悩んだりすることは多いですよね。気持ちが伝わらないことほど悲しいことはありません。そこで、ボイス&メンタルトレーニングスクール「アマートムジカ」代表の堀澤麻衣子さんに、恋人に気持ちが伝わらない理由とその対処法についてお聞きしました。

「相手のことを知り、気持ちを伝え合おうと思ったとき、まず大事なのは“伝え方”。想いを伝えたくても、たとえば猫背で内側に肩が入った前かがみの状態で言葉を発してもきちんと伝わりません」(堀澤さん)

誠実さや優しさの伝わる声の出し方

「相手に誠実さや優しさが伝わる声が出るのは、両肩を持ち上げてから肩を下げる姿勢です。これで肋骨が上がり、胸板に響く声が出て、安心感、誠実さが伝わる声に変わります」(同)

 気持ちを伝えるにはまずは文字通り姿勢を正すように心がけることが大切なんですね。声が変われば気持ちは伝わる?

男女の感じ方の違いを理解した伝え方

「気持ちの伝わりやすい声とはいっても、いわゆる男性脳と女性脳という言葉があるように、男性と女性とでは感じ方に差があります。声に加えて、そういった差を意識して伝えないといけません」(同)

*男性→女性の場合*

「たとえば、女性にとって美というのは永遠のテーマで、眉毛がちょっと曲がっても一日中不機嫌になったりします。これは男性にはどうでもいいことなので、その手間が分かりませんし、そもそも男性は『言わなくても分かるだろう』と思って声に出すのをおろそかにしがち。しかし、女性はそれでは満足できません」(同)

 たしかに、口に出して言ってくれたらいいのにと思いますよね。

「女性は、言われて嬉しかった言葉を、そのときのシチュエーションや音、顔などを含めて全部覚えていて、何回も反芻する人が多いものなので、身支度を終えて戻ってきたら折に触れ『かわいいよ』『きれいだよ』などと声に出して言ってあげたほうがいいですね」(同)

*女性→男性の場合*

「たとえば、男女が同じ部屋にいて、高いところのものを女性が背伸びして一生懸命取ろうとしています。女性にとっては自分で取ろうとしているだけであっても、男性にとっては『言ってくれたらいいのに。遠慮しているのかな。それとも、自分にあんまり頼みたくないのかな』とまで思うことも珍しくないそうです」(同)

 自分が思っていても言わないことがあるから、そう感じるのかもしれませんね。

「こういう場合、男性は『取ってください』と言われたほうが嬉しいんですね。もし『手伝おうか』と言われたとして『いいです』と断ると男性は傷つきます。笑顔で『ありがとうございます。お願いします』と言ってお任せしたほうがいいです。男性は頼られることに喜びを感じるのです」(同)

 なるほど。こうしてみると、男女で相手に声に出して伝えてほしい内容やタイミングは異なり、すれ違いが起きやすい場面はたくさんありそうです。相手の気持ちを察することが大事ですね。

「所与」ではなく「関与」の人に!

「夫婦円満なカップルは、お互いの素敵なところをちゃんと声に出して伝え合っています。『そのペンダント似合ってるね』でもいいのです。『髪を切った?』などと変化に気づいていれば、それを伝えることもできます。

仕事でも恋愛でも、誰かが何かしてくれることだけを待っているのは、一般的な人間のコミュニケーションとしておかしな話です。『私をどう楽しませてくれるの?』という受身の女性もうんざりされてしまいますよね。

所与と関与という言い方があるのですが、所与の人は、言われたことをやったのだから給料をもらうのは当然と考えます。関与の人は、自分に何かできることはないか、あの人は困っているから自分がやろうかなと考えます。関与的な人になることが大事です」(同)

 男女の違いを理解し合い与え合う関係になってこそ、気持ちの伝わりやすい声もより相手の心に響くようになるのですね。ちょっとした心がけ次第ですれ違いを減らし分かりあえるのなら、とても素敵なこと。大好きな人に自分の想いをきちんと届けられるようにしたいものですね。

(東野由美子/サイドランチ)
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ライター

東野由美子

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