ヒトメボ

血液型人間科学研究センター所長

市川千枝子

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 「その言い方O型っぽい」「B型とは馬が合わない」……なんて会話、よく耳にしますよね。血液型別の傾向をまとめた書籍が多数出版されるなど、日本では血液型と性格を結びつける分析が当たり前のように存在しています。でも、これって日本だけ? 世界でも同じように考えているんでしょうか? 血液型人間科学研究センター・市川千枝子さんにお話を伺いました。

「血液型と性格の分析は日本が最も盛んで、海外ではそこまで主流ではありません。これは、日本ではA・B・O・ABの血液型分布が平均的で調査が容易だったからと考えられます。一方、最近の欧米諸国では、血液型と遺伝子研究などの体質的な因果関係を分析することが行われるようになりました」(市川さん)

 言われてみればなるほど。各血液型の分布は国によって異なっているんですね。ちなみに人類全体での平均的な分布はどのようになっているんでしょうか?

「あくまでも理論上ですが、地球に住む人類の血液型の分布は、O≒38%、A≒32%、B≒23%、AB≒7%と言われています。それに対しての各国の傾向は以下の通りです」(同)

【各国の血液型分布】

日本:A=38%、O=31%、B=23%、AB=9%

アメリカ:O=45%、A=41%、B=10%、AB=4%

中国(北京):O=33%、A=30%、B=29%、AB=8%

スウェーデン:A=47%、O=38%、B=10%、AB=5%

ペルー:O=71%、A=19%、B=9%、AB=1%

イラク:O=35%、A=31%、B=26%、AB=8%

ギニア:O=64%、A=17%、B=17%、AB=2%

インド:B=36%、O=32%、A=25%、AB=7%

 こうしてみると国ごとに偏りがあって興味深いです。たしかに日本は平均的ですね。

「これら地域による分布の偏りや、現在世界の遺伝子研究などで分かってきたことを考え合わせ、少しずつ事実をつかんでいます。これらのメカニズムは未だ研究進行中のため、あくまで仮説段階ですが、海外と日本の研究点で一致するのが下記の特徴です」(同)

O型

人類初期における狩猟、採取民族に代表される血液型だと思われています。南方地域から世界全土に広がっていることを考えると、古い時期から存在していて子孫繁栄や適応力にも強かったと言えそうです。よく言われている「おおらかで社交的」という特徴もそれを表しています。免疫学的視点からいうと他の血液型の人に比べて、潰瘍、コレラ、ペストなどの病気にかかりやすく、梅毒や結核などの感染症や他、全般的に病原菌に強い傾向が見られます。

A型

現在でもヨーロッパ地域に分布率が高く、発祥は北欧などの森林地帯、寒冷地域で農耕民族として環境に適応してきたのではないかと思われます。協調性が高く、完璧主義なところがあります。肺結核、梅毒、天然痘などの感染症にかかりやすく、生活習慣病(糖尿病、心筋梗塞など)になり易いというデータもあります。また逆に、ペストにかかりにくいという調査も明らかにされています。

B型

中近東やアジアに分布率が高いことから、インド・中東・モンゴルに広がる高原地帯が発祥で遊牧生活に適応してきたとされています。気質としては、一つの物事に没頭し、「マイペース」を保つという特徴があります。免疫学的には肺結核、インフルエンザ、梅毒などの感染症には弱く、コレラ、天然痘などにかかりにくいと言われています。

AB型

最も少ないタイプであるAB型の多い地域は中東など東西文化の交流地域。また、日本などの大陸の先端地域などです。このことから、最も新しい血液型のタイプだと言われています。気質も他者との調和やバランスを重視しているということが分かります。免疫学の研究から、梅毒や天然痘にかかりやすく、コレラにかかりにくいことも明らかにされています。

 あくまで仮説の域、という前提付きですが血液型から性格傾向だけでなく、かかりやすい病気や、農耕民族、遊牧民族、狩猟民族、どの血を一番多く引いているかも分かるなんて、なんとも不思議なものですね。

(冨手公嘉/verb)
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ライター

冨手公嘉

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