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2015.11.17
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2015.11.17
エッチな姿を見たり想像した男性が鼻血を出すシーン。アニメや漫画でのお約束ですよね。でも、これって日本特有の表現らしく、海外の日本アニメファンには理解しがたいものだそうです。でも、まさか興奮すると鼻血が出るのは日本人だけ! なんてこともないですよね。そこで、耳鼻科医で、様々なメディアでご活躍の耳鼻咽喉科かめやまクリニック院長、金谷浩一郎さんにお話を伺いました。
「性的興奮が心拍数や血圧の上昇をもたらすことは、経験的にもよく知られた事実ですが、実は性的興奮と鼻血とは直接は関係がありません。外傷などの誘因がないのに突然おこる出血として圧倒的に多いのが、鼻血です。鼻血のほとんどは、鼻の入り口の鼻中隔側で出血します。小児の場合は、慢性的な鼻炎で粘膜が傷つきやすくなっていたり、鼻の入り口を触る癖があったりすることが、ひとつの誘因となるのではないかと考えられています。しかし、慢性鼻炎や鼻を触る癖のある子供がみんな鼻血を起こすわけでもないので、鼻血が出る真の原因は不明なのです」(金谷浩一郎さん)
えっそもそも鼻血の原因自体が謎なんですか? すごく身近なことでもまだまだ未解明なことってあるものなんですね……。
「『興奮して血圧が上がることで、皮膚の中で最も弱い部位である鼻の血管が破れ、鼻血が出る』という理屈で、興奮すると鼻血が出るメカニズムを解説されることもあるようですが、人体の構造は種々の変化に対応できるように柔軟にできています。特に健康な人の動脈壁は厚く弾力性があり、多少の血圧の変化で簡単に破れたりするものではありませんので、この説も必ずしも正しいとは言えません」(同)
これまで「エッチなこと考えてたでしょ!」とか言われてきた人はきっと濡れ衣だったんですね。でも、なんでまた性的興奮と鼻血が結びついたんでしょう?
「人間の心理として、出血は、人体に大変な事態が生じたというイメージを強く喚起させる象徴とも言えます。かつて、プロレスの試合では、レスラーが試合を盛り上げるために、しばしば故意に額に傷を作り出血させることがあったという話もあります。以上のようなことから、性的興奮が過度に高まったということを強く表現するための道具として、鼻出血が使われるようになったということではないでしょうか」(同)
なるほど。エッチな想像での興奮の場合は、額から流血では大げさというか不自然ですし、一番弱い部位である鼻の血管からの出血というところにほどよいリアリティーがあったのかもしれませんね。
ちなみに、1970年に週刊少年マガジンで連載された谷岡ヤスジ作の『メッタメタガキ道講座』内に、興奮して鼻血を出すことの過剰な表現として「鼻血ブー」というフレーズがあり、流行語として認知されていたそう。これを「興奮すると鼻血が出る」表現の元祖とみることが多いようです。
(冨手公嘉/verb)初出 2012/10/19
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