社会学者に聞いた！　恋人がいる人を好きになる原因とその対策

　友達の恋人を好きになってしまった……。成就しそうもない恋をしてしまうことに対して「どうしていつも難しい恋になるんだろう」「自分はなにか間違っているんじゃないか」と悩んだり、「面倒になるのが嫌だから……」と諦めたりしてしまったことはありませんか？　そんなお悩みを、家族社会学の分野で活躍中の“さにはに先生”こと永田夏来先生に相談してみました。

恋人のいる人を好きになってもいい？

「よく『人のものを奪うのが好き』みたいな人もいますが、それはまた別の話で、好きになった人に恋人がいること自体は別に間違ってないと思いますよ。女子慣れしている男子、つまり彼女持ちの男子は余裕があるので、格好良く見えがちなんです。もともと恋愛の趣味は人それぞれなので、それ自体に良いも悪いもないんですよ。もし本当に『恋人がいる人を好きになることをやめたい』というのであれば、あなたの男性の趣味自体を変えるしか無いですが、奪ったっていいわけですし」（さにはに先生）

　でも「他人の彼氏」だとどうしても難しい恋になってしまいそうですが……。

悩んでしまうのは行動範囲が狭いから

「そもそも、なぜこういう状況になるのか、なぜこういう状況になったとき『難しい』『間違っている』と思ってしまうのか。それは狭い世界での恋愛だからではないでしょうか。好きになった相手は知人の彼氏だった……。そういう場合、面倒になるのはいわゆる“人間関係”ですよね。つまり、あなたや恋愛自体が間違っているのではなく、『シチュエーション』が間違っている、ということなんではないでしょうか」

　狭い世界というと、同じサークルや部署内に元カレや元カノがうようよしているような状態のことでしょうか。元カレ元カノの近況を目にするし、周りの目も気になるし、好きになった人は自分の友達と付き合っているし……。こういったシチュエーションが間違いだと。

「まず彼女がいても浮気するような男性と付き合いたいのか？　また、狭い世界の“煮詰まった人間関係”に一瞬でも関わりたいのか？　というところを、一度しっかり考える必要があるでしょうね。それでも彼のことが好きなら、しょうがない。シチュエーションを変える方を選びましょう。例えば彼女持ちの人を好きになるとしますね。その人と共通の知人がいなければ、別にその人が彼女と別れてあなたと付き合ったとしても、あなたのことを責めるような人は日常に現れないわけです。自分が気にしなければ、一度付き合ってしまえばその後は別に普通の恋愛と変わりません。結局のところ、面倒なことになるのは大抵、共通の友人・知人がいる場合。つまり“しがらみ”ですね」（同）

　でも、友人や知人のいるコミュニティを抜けて恋人をとる……。というのもなかなか難しいですよね。だからといって、残り続けても苦しいのですが。

行動範囲を広げればシチュエーションも変わる

「それでまた別の狭い世界に移っても同じことですから、コミュニティをただ抜けると考えるのではなくて、どんどん行動範囲を広げればいいんですよ。どこか趣味のサークルを探すなり、インターネットで楽しそうなコミュニティを見つけるなり。今は、方法はいくらでもありますから。行動範囲を広げれば広げるほど、あなたを縛る人間関係、つまり“しがらみ”は薄くなっていきます」（同）

　世界が広くなれば、「間違った」シチュエーションが原因のしがらみは減りますし、責める人もいなくなるかも、と。でも、しがらみがなければ何をしてもいい、とはなかなか思えないものですよね。やっぱり「なんで自分はこうなんだろう…」とモヤモヤしてしまうかも。

「どうして自分はこうなのか、と自己嫌悪に陥っている人にこそ、とにかく『行動範囲を広げよう』と言いたいです。人間関係が狭いと、そもそも出会い自体が限られますよね。周りに恋愛対象となる相手がほとんどいないって思っている人もいるんじゃないですか？　出会いは絶対に広がりますから。独身で恋人のいない相手と出会える可能性も大きくなるわけです」（同）

　なるほど。行動範囲が狭いから、恋人がいる人を好きになってしまったり、それを周りに責められたり、自己嫌悪に陥ったりする。でも、行動範囲が広ければそもそも恋人のいない理想の相手と出会える可能性も高くなる。つまり頭を悩ませる問題自体が起こらなくなるということでもあるんですね。

　「自分は間違っているんじゃないか？」と自己嫌悪に陥る前に、まずは「シチュエーションが間違っているのかも？」と疑ってみてはいかがでしょうか。環境を変えるだけで、“幸せな出会い”が見つかるかもしれませんよ。

(川口有紀/フリート(fleet))

初出 2014/12/7