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2016.06.02
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甘党や辛党に酸味好きと、人にはそれぞれ好みの味があるもの。実はそうした嗜好から、ある程度その人の性格を診断できるってご存じでしたか? 味覚研究の第一線で活躍するAISSY株式会社の「味博士」こと鈴木隆一さんに「味覚と性格の関係」について教えていただきました。
「はじめに、人間の性格を分類するにあたってはアメリカの学者クロニンジャーが発表した『パーソナリティ理論』というものがよく利用されますが、これは遺伝子的な要素が深く関係しており、味覚との関係も明らかになっています」(味博士)
このパーソナリティ理論によると、人の性格はそれぞれ以下の「気質」のバランスによって構成されているそう。
<1>「新奇探究性」=新しいもの好き、刺激が大好物、飽きっぽい
<2>「損害回避性」=安定が大好き、リスクが嫌い、あまり冒険しない
<3>「報酬依存性」=人から認められたい、好かれたい
「そして興味深いことに、甘味と塩味のどちらが好みかということに対し、塩味が好みな人ほど『新奇探求性』が強く、甘みが好みな人ほど『報酬依存性』が高いという結果が出ています。また、酸味は食品の腐敗のシグナルでもあり、苦味は毒物を意味します。本能的に避けたほうがよいものを好むという点では、酸味や苦味好きの人は『損害回避性』が低いと考えられるでしょう。こうした理論をもとに味の好みと性格を分類すると、それぞれ次のような傾向があります」(同)
<新奇探求性…低/損害回避性…高/報酬依存性…高>
明るく気さくな性格ではあるが、意志が弱くて勇気が足りず、冒険精神が乏しい。安定的な快楽を求めるため、恋愛では甘えん坊な一面も。周りからどう見られているかを気にするため、他者からの評価が高い「モテる人」と付き合いたがることも多い。
<新奇探求性…高/損害回避性…高/報酬依存性…低>
計画性が強く、苦労を惜しまないが、義理人情をあまり気にしない。今まで交際してきた人とまったく違うタイプの異性を突然好きになるなど、新鮮な恋愛を求めることも。
<新奇探求性…高/損害回避性…低/報酬依存性…低>
冒険心が強いが、どこか偏屈な性格であることが多い。交際があまり得意ではなく、寛容性が足りない。あまり人の目を気にしないタイプ。
<新奇探求性…高/損害回避性…高/報酬依存性…高>
機転が利くが、お世辞などの甘い言葉に弱い。一方で、周囲のアドバイスに逆らったり、他人の欠点にケチをつけたりするなど、性格にムラがある。
<新奇探求性…低/損害回避性…低>
報酬依存性に関する文献の報告はないものの、意地っぱりだが、ロマンチストである人が多いとされる。ちなみに、苦味は繰り返し学習することで好きになる味。ビールやコーヒーなどが大人の味と言われるのは、経験の積み重ねにより味の嗜好が変わるから。
「上記の中でも『塩味』『酸味』『辛味』は刺激系に分類されます。これは神経伝達物質のドーパミンと関係が強いと思われるので、新たな刺激を求める=新奇探求性が高いということになります。一方、『甘味』と『苦味』はセロトニンとの関連性が指摘されており、安定的な快楽を求める傾向があるのです」(同)
ちなみに、こんなポイントからも!
【薄味が好きな人】…穏やか、計算高い
【濃い味が好きな人】…ストレスを感じている
【野菜が嫌いな人】…イライラしやすく、短気
【猫舌な人】…穏やか、のんびり屋
「これらは、もともと備わった性格というよりも、食生活が原因で後天的に性格が形成されたと考えられます。特に味の濃さに関しては、ストレスの影響である可能性大。人は強いストレスを感じると交感神経が緊張し、アドレナリンが過剰放出されることで正常な唾液の分泌ができなくなります。すると味の感受性が落ち、ますます濃い味を求めるようになってしまうのです。強い甘味や激辛料理を好む人は、注意が必要ですよ。
また、野菜嫌いの人はミネラル不足などが影響し情緒不安定になっている可能性があります。猫舌の人は、他人より時間をかけて食事するうちに、無意識下で『自分はのんびり屋なんだ』と自己暗示がかかった結果、穏やかな性格になったのかもしれません」(同)
よく、食べものの好みが合う人とは相性がいいなんてことを言いますが、「味の好みが同じ=性格が似ている」と考えると、納得できますよね。気になる人と食事に行ったときは、どんなジャンルの味を好んでいるかあらためて観察してみてくださいね!
(池田香織/verb)初出 2012/8/27
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