0
0.0(0人が評価)
2019.05.25
0
0.0(0人が評価)
2019.05.25
修学旅行の夜の定番行事といえば「枕投げ」。先生に怒られるほど大騒ぎした人もいるでしょう。さて、そんな枕投げですが、そもそもいつから行われているものなのでしょうか? 『全日本まくら投げ大会』を主催している『株式会社toiz』の取締役副社長・大塚眞さんに「枕投げの歴史」についてお話を伺いました。
――「枕投げ」はいつぐらいに誕生したのでしょうか?
大塚さん 『全日本まくら投げ大会』を主催していますので、私どもも枕投げについて調べたり、研究を行ったりしているのですが、正直なところ「いつから始まったものなのか」は明らかになっていません。枕は古代からあるといわれていますし、「何かを投げ合う」という遊びも同様ですから、その起源を探るのは難しいですね。
――なるほど。起源は分からないのですね。
大塚さん 日本では少なくとも江戸時代には行われていたのではないか、と私たちは考えています。
――それはなぜでしょうか?
大塚さん 江戸中期に、現在のような布袋に綿などを詰めた枕が庶民の間でも使われるようになったからです。雪合戦が平安時代からあったといわれているように、日本でも戦争を模した遊びは一般的な文化でしたから、枕を投げ合う遊びがそのころにはあったという可能性は高いのではないでしょうか。
――枕と文化の両面で考えるとそうかもしれませんね。
大塚さん また、文献などに明確に記されているわけではありませんが、「太平洋戦争中に学童疎開した子どもたちが枕投げをして遊んだ」という証言もあります。ですので、1940年代には確実に行われていたようですね。
――枕投げがここまで定着した要因はなんだと考えますか?
大塚さん 「修学旅行」の影響が大きかったのではないでしょうか。たくさんの枕があって大人数というシチュエーションが、自然と枕を投げ合うことにつながり、修学旅行ならではのイベント・文化になっていったと思います。
――修学旅行=枕投げという認識の人がほとんどですよね。
大塚さん 日本の文化の一つだと思います。恐らく日本人で枕投げがどういうものか分らない人はまずいないでしょうから。
――海外ではどうですか?
大塚さん 海外では枕を投げ合うのではなく枕で叩き合います。いわゆる「ピローファイト」と呼ばれるものですね。叩き合う中で投げることもあると思いますが、日本の枕投げとはまた違った文化です。ちなみには4月の第一土曜日は「国際ピローファイトデー」で、世界各地でいろんなイベントが行われています。
――江戸中期から行われていると考えても、少なくとも200年以上の歴史がある枕投げですが、今後はどのように変わっていくでしょうか?
大塚さん 枕を投げ合って遊ぶという本質は変わらないと思いますが、最近では修学旅行で宿泊する場所が昔のような旅館ではなく、ホテルになっています。昔のように大人数で枕投げをするということは少なくなるのではと思います。
――なるほど。みんなで思いっきり投げ合って楽しむ機会がなくなるかもしれませんね。
大塚さん ただ、文化としては非常に魅力的なものです。「全日本まくら投げ大会」は伊東温泉で生まれたものですが、それが枕投げ文化の維持に貢献できるとうれしいですね。
――まくら投げ大会の反響はいかがですか?
大塚さん 伊東温泉で開催している「全日本まくら投げ大会in伊東温泉」は600人規模にまで大きくなってきました。各地で予選会を行うほど多くの方に参加してもらっていますね。公式チームが生まれたり、企業スポンサーが付いているチームもありますよ。
――新しいスポーツとして定着しつつあるのですね。
大塚さん スポーツですから正々堂々と戦ってきっちり勝敗がつきますし、思い切り投げてストレスも発散できますからね。投げるのは柔らかい枕ですから相手を傷つけることもありません。最近では日本ならではのコンテンツとして海外からも注目されるようになりました。今まさに過渡期にあるのではないかと思います。
――もしかしたら世界的なスポーツになるかもしれませんね。ありがとうございました。
枕投げの起源は不明ですが、江戸時代中期にはすでに行われていた可能性があるとのこと。その時代の人たちも、今と同じように喜々としながら枕を投げていたと考えると、なんだか感慨深いですね。
⇒『全日本まくら投げ大会』公式HP
取材協力:株式会社toiz
(中田ボンベ@dcp)
0comments