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2018.09.18
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1980年代は個性的なおもちゃが数多く登場し、子どもたちを夢中にさせました。なかでも、カップ麺のどんぶりがロボットに変形するというその斬新な発想から、多くの男の子の注目を集めた『テレコマ戦士どんぶりマン』。漫画化されたこともあり大ヒットしました。今回は、開発を担当された株式会社タカラトミー(当時:タカラ)のOB・池永信弘さんに、『テレコマ戦士どんぶりマン』の誕生秘話を伺いました。
――どんぶりマンが誕生した経緯を教えてください
池永さん:当事のタカラには『チョロQ』を主体事業にしていた「クルマ事業部」があり、この部署では、男児向けのオリジナル商品を開発していました。『チョロQ』はすでに雑誌でマンガ連載も始まっており認知度もありました。しかしその他のオリジナル商品は訴求力が低く、かといっていきなりテレビコマーシャルを打てるほどの予算もないということで苦慮していました。
そんな中、企画会議で「いろいろな業界のテレビコマーシャルに出ている商品を素材にできないか?」というアイデアが出ました。それに加えて、当時は男児向けといえば変型ロボットが主流でしたので、「コマーシャルに出てくる商品をロボットに変型させてしまおう!」という発想で生まれたのが『テレコマ戦士』です。商品名もそのまま、テレビコマーシャル戦士を縮めてテレコマ戦士としたわけです。
――なぜ数多くあるCM商品の中から「どんぶりタイプの即席麺」を選んだのでしょうか? 開発当時のエピソードを教えてください。
池永さん:開発当初に悩んだのが、「どの業界の商品からスタートするか」や「他業界の商品を玩具化する許諾が得られるのか」ということですね。
その中で即席麺を選んだ理由は、当時コマーシャルが多数あったインスタント食品で、なおかつ子どもが好きだからです。その後、商品化の許諾を得るために実際に試作品を作り、メーカーに直談判することになりました。そこで即席めんの中でも当時多く出回っていた「どんぶりタイプ」を基に試作品を作ったのです。
――そうした経緯で「どんぶりマン」が誕生したのですね。
池永さん:商品化の許諾を得る際、最初にお伺いしたのがユニークなコマーシャルで『緑のたぬき』『赤いきつね』を発売していた東洋水産株式会社様でした。商品化を申し込むとき「お子さんたちに御社の商品認知度を上げる方法としておもちゃは最適ですよ」という口説き文句を使いましたね。この言葉に効果があったのか、商品化を許諾していただけました。
パッケージデザインにも苦労しました。オリジナル商品だけに、まず店頭で手に取ってもらって、商品仕様を知ってもらうことが先決です。そのため、楽しいイラストを前面に大きく見せ、裏面には4コママンガを載せてどんなキャラクターなのか分かるようにしました。
――発売当時の反響を教えてください。
池永さん:オリジナル商品ということでスタートはスローでしたが、雑誌『てれびくん』でマンガ連載が始まると人気が出てきました。それに加え、店頭で流すオリジナルアニメを製作したことも人気を後押ししたと思います。このアニメはタツノコプロダクションの協力で製作しました。
――どんぶりマン以外ではどんなテレコマ戦士がいましたか?
池永さん:『どんぶりマン』に続き、次々にテレビコマーシャル商品を商品化していきました。縦長カップタイプの即席麺の『カップマン』や、森永製菓株式会社様の許諾を得て商品化した『スナックマン』。他にも飲料メーカーのペプシコーラ様、サントリー株式会社(現:サントリーホールディングス株式会社)様の協力を得た『ドリンクマン』もありました。『テレコマ戦士』が『てれびくん』(小学館刊行)に連載されている関係で、株式会社小学館様の学年誌を商品化した『ブックマン』も発売しました。
――人気が高かったのはどのテレコマ戦士でしたか?
池永さん:数多くのキャラクターを出しましたが、やはり見た目もかわいい『どんぶりマン』ですね。それも最初に出した『緑のたぬき』と『赤いきつね』はぴったり合っていたと思います。
――どんぶりマンがほかの玩具にもたらした影響などはありますか?
池永さん:目立った影響があったかは分かりませんが、シンプルな変形方法は子どもたちにとって扱いやすいものでした。このシンプルな変形は、『テレコマ戦士』以降も多く見かけるようになったように思います。
――ありがとうございました。
筆者も子どもの頃にどんぶりマンで遊んでいましたが、テレコマ戦士が「テレビコマーシャル戦士」の略語だったのは、30年たった今初めて知りました。同じように、「知らなかった!」というアラフォー男性も多いのではないでしょうか? こうした子どもの頃に遊んでいたおもちゃを紐解くと、意外な発見があったり、当時の思い出がよみがえったりするもの。子どもの頃にどんぶりマンで遊んでいた人は、この機会に当時のことを思い出してみてはいかがですか?
取材協力:株式会社タカラトミー
(中田ボンベ@dcp)
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