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2017.05.23
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2017.05.23
最近の子どもたちのなりたい職業として人気なのが、「ユーチューバー」です。YouTuberとは、動画投稿サイトYouTubeにオリジナル動画を投稿し、その広告収入で生活をしている人のことを指します。人気者になると、実に数億円もの広告収入を稼いでいるとも言われおり、まさに夢の職業と言えるでしょう。
ここ数年で突如人気の職業となったYouTuber。今回は、アディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士に、撮影やSNS投稿の注意点などについて伺いました。
色々な動画がありますが、例えば建物内での無断撮影は違法にはならないのでしょうか?
「建物の管理権者は、その管理権限に基づき、写真撮影を禁じたり、建物からの退去を求めることができます。これに応じることなく撮影を続けるなどすれば、不退去罪(刑法130条後段)に該当するとして刑事責任を追及されたり、不法行為に該当するとして損害賠償義請求を受ける可能性があります」(アディーレ法律事務所・吉岡一誠弁護士)
管理者側が「撮影禁止」としていなければ大丈夫なんですね。思ったより厳しくない印象です。
「しかし、店内の著作物が写り込んだ写真や動画をネット上にアップした場合には著作権侵害のリスクがありますし、来店客が写り込んだ場合には、人物が特定できる態様であれば肖像権侵害のリスクがあります。なお、創作性が認められる建築物の場合は、著作権法上保護される可能性がありますが、写真撮影を行うこと自体が違法というわけではありません」(同)
建物そのものを写したり、内部で撮影することは基本的に違法ではなくても、その建物内にある著作物や、お客さんなどを勝手に撮影してネットにアップすることは違法、という線引きのようです。
YouTubeだけでなく、インスタグラムなどのSNSでカフェの美味しそうなご飯などを写真撮影し、アップするということはもはや普通のことだと思います。その場合はどうでしょうか?
「レストランが、撮影禁止のルールを店内に掲示するなどして事前に告知しておれば、撮影禁止がレストランと客との間の契約内容の一つになります。そのため、レストランは、無断で写真を撮影する客に対して、債務不履行にあたるとして、退店を求めたり、損害が生じた場合には損害賠償請求をすることができます。また、そのようなルールを明示していない場合でも、レストランは、店の管理権限に基づき、客に対して写真撮影をやめるよう求めたり、悪質な場合には退店を求めることが可能です。これに応じることなく撮影を続けた場合に、民事上ないし刑事上の責任追及を受けるリスクがあることは、建物内部の無断撮影の場合と同様です」(同)
ちなみに、YouTuberのように「広告収入を得ている人」と「個人的に趣味でアップしている人」で違いはあるのでしょうか?
「プライベートでSNSにアップする目的で撮影する場合と、YouTuberが広告料を得る目的で撮影する場合とで特に違いは生じません。なお、料理に創作性があるとして著作権が認められる余地もなくはないですが、ハードルは高く、仮に著作権が認められたとしても、写真をネット上にアップせずに個人で楽しむといった私的使用については制限できません」(同)
お金を得ているかどうかはあまり重要な問題ではないそう。やはり、お店側が撮影を許可しているかどうかが重要なんですね。
では、お店以外の場所はどうなるのでしょうか。例えば、公園やなどの公共の場所、撮影している人も多いと思うのですが、問題ないのですか?
「公園や公道においての撮影は、基本的には許可は不要です。ただし、大掛かりな撮影で一定のスペースを一定時間占有する必要がある場合や、商業目的での撮影の場合などは、許可が必要になることが一般的なので、事前に公道や公園の管理者である自治体等に確認しましょう」(同)
ハンディカメラ一台ぐらいでホームビデオの撮影をするのにいちいち許可が必要ではないということですね。しかし、YouTuberの撮影は商業目的になると思いますので、機材や規模の大きさに関わらず許可が必要かもしれませんので、確認した方がよさそうです。
「適法か違法かという結論にかかわらず、無断撮影が原因でトラブルに発展することは、建物の管理者や店内のお客さんのみならず、撮影した本人も気持ちの良いものではないかと思います。みんなが気持ち良く過ごせるように、撮影をしたいと思ったときには、なるべく管理者の許可を取るようにしましょう」(アディーレ法律事務所・吉岡一誠弁護士)
(吉岡一誠 弁護士/アディーレ法律事務所)
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