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2015.06.16
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交際していると、時として恋人から「お金を貸して」なんていわれることもあるはず。場合によっては、それが積み重なってかなりの高額になることも…。そのようにして貸したお金は、法的に見てきちんと返してもらえるのでしょうか? アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士に伺いました!
得てしてお金の貸し借りは、後になってウヤムヤになることも多いもの。特に恋人同士となると、場合によっては「借りてないし」「くれると思ってた」なんて言われる可能性もありそうです。そんな時、法的に返済の義務を生じさせるにはどうすれば良いのでしょうか?
「やはり一番は書面を残すこと。借用書や念書があれば、法的にも返す義務が生じます。たとえ貸し借りが発生した時に書面を残していなくても、後に『債務があることを相手が認める書面』を作れば問題ありません。貸し借りが起きた日付と金額が明記されていれば大丈夫です」(鈴木弁護士)
基本は書面を残すこと。それがないと口約束になってしまい、仮に裁判で争っても厳しくなる可能性が高いようです。
とはいえ、恋人に書面を書かせるのは気が引ける人も多いはず。そこで耳寄りなのは、「書面がなくても重要な証拠になるものもある」という鈴木弁護士のお話。
「たとえば貸し借りが発生した時のメールのやり取りですね。相手が『借りる』という意思を持っていることが分かるメールが保存されていれば、それも書面と同類の証拠になります。ただしこの場合は、実際に相手にお金を貸したことが分かる記録も必要。たとえば通帳の振り込み履歴などがそれに当たります」(同)
借金の返還で大切になるのは、相手が「お金を貸りる(=後に返そうとしている)」と認識している証拠と、実際にお金を渡している証拠。相手が借りる気はなく「もらった」と認識しているとダメですし、同様に渡した証拠だけではそれが貸したお金かどうかを判断できません。書面がない場合は、この2つを立証する必要があるようです。逆にいえば、その2つを立証できれば法的に返還の義務が生じるといえるでしょう。
もし訴えが認められて、「○○円を返すように」と法的に認められても、それですぐに解決とは行かないケースが多いよう。
「この時点ではまだ強制的に取り立てることはできません。いわば、法的なお墨付きをもらったという認識です。つまり、返ってくるかは相手の誠意次第なんですね。もし返ってこない場合は、強制執行に踏み切ることも可能です。ただしこれにも弁護士費用などがかかってきますので、あまり少額の貸し借りですとメリットは少ないかもしれません」(同)
法的に認められても、往生際が悪い相手だとまだ返ってこない可能性もあるということですか…。もちろん高額なやり取りなら、強制執行に踏み切るのも有用な手といえそうです。
「実は、恋人同士のお金の貸し借りにおけるトラブルは多いんですね。実際に貸し借りはしていなかったカップルでも、たとえば男性が交際中は食事をおごっていて、別れるとなったら『おごった分を返してほしい』と言いがかりをつけることもあるんです。もちろんこれは認められませんが、そういったトラブルに巻き込まれるだけでも疲れるもの。別れる場合でも、円満な形に越したことはないと思います」(同)
何とも驚きの言いがかりですが…、こういうケースもあるようですから用心した方が良さそう。お金の貸し借りトラブルは、思わぬところから降って湧くこともあるようです。
たとえ別れた後の元恋人でも、「お金を返してほしい」と要求するのはエネルギーのいるもの。つい泣き寝入りしてしまうこともあるでしょう。とはいえ、それでいい思いをするのは相手。もしかすればそれをいいことにまた色々な所で借金を作ってしまうかもしれません。貸したお金は、きちんと返すように交渉したいところですね。
(有井太郎+プレスラボ)初出 2014/6/19
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