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2015.10.26
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2015.10.26
誰かにお願いごとをするとき、相手の左側と右側、どちらからが聞き入れてくれやすいと思いますか? 正解は「右側」。実はこれ、よく知られている心理テクニックらしいのですが、どうして右側なのでしょうか?
「それは、脳が音声の情報を右耳で捉えることを好む仕組みだからです。実際に右耳優位を裏付けるようなデータが、研究機関により発表されています」(恋愛科学カウンセラー・荒牧佳代さん)
でもどうしてそれが、「お願いごとは相手の右側から」につながるのでしょうか?
「人は耳から入った言葉をはじめは振動として捉え、最終的には側頭葉の『聴覚中枢』で音として認識された後、言葉として認識します。言葉を理解する『ウェルニッケ野(感覚性言語野)』がある『言語中枢』は、多くの人の場合、側頭葉の『聴覚中枢』を囲むように左脳に位置しています。よって、右耳から話すほうがよりスムーズかつスピーディに音声情報を認識してもらえる傾向にあると考えられるのではないでしょうか」(同)
なるほど。この説は、脳の仕組みに大きく関わっているんですね。ちなみに、イタリアのG・ダヌンツィオ大学の研究によると、大音量の音楽が鳴り響くクラブで女性が男性に「タバコをくれないか」と左耳、右耳に同じ数だけ問いかける実験を行った結果、右耳でお願いしたときのほうがタバコをくれる確率が高かったそうです。
「ほかにも、東京医科歯科大学の角田忠信教授の研究によれば、欧米人は人の話す言葉(子音)などの音声情報を左脳、それ以外の大半の音声情報を右脳で捉えるのに対して、日本人は人の話す言葉(母音・子音)に加え、動物、鳥、虫の鳴き声、一部楽器の音なども左脳で捉えているとのこと。つまり日本人は欧米人に比べて、左脳で音を捉える力が高いということになります。そのため、右耳で聞いた言葉のほうが話の理解が早く、受け入れられやすいと考えることもできるのです」(同)
ちなみに前述のイタリアの同大学では、『脳は左半球が積極的感情に、右半球が否定的感情にそれぞれ同調している』という研究データがあり、右耳からお願いされたときのほうが、積極的感情を引き起こし、お願いを引き受けてくれやすいのでは…という分析もされているのだとか。ところで、逆に左耳に聞かせたほうが効果的なことってないのでしょうか?
「怖い話や愛の告白などは左耳から伝えたほうが、相手のイメージや感情により訴えかけ、なおかつ理屈ではない部分を刺激するため効果的かもしれませんね。ただ、脳の分野に関する研究は一進一退で、最近では言語を扱うときも、芸術に関する事柄に触れるときも右脳と左脳両方を使っている(右脳と左脳を分け隔てて考えるのは不自然だ)という説も存在しますので、正直なところどこまで正しいかは定かでない部分もあります。あくまで参考程度に捉えてくださいね」(同)
とのこと。いずれにせよ百読は一聞にしかず(?) お願いごとを右耳に、愛の告白を左耳に、それぞれ試してみてはいかがでしょうか。ちなみに「ささやき声」にも、人の関心を集め、警戒心を取り除く効果があるのだとか。両方のテクニックを活用したら、より高い効果を得られるかもしれませんよ!
(冨手公嘉/verb)初出 2013/4/22
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