隠し味にコーラ……　思い出したくもない彼女の手料理

　愛情のこもった彼女の手料理。いつもならきっと彼の舌と心は満たされていたでしょう。しかし、ときに愛情だけでは越えられない壁が存在します。砂糖と塩まちがえちゃった、くらいならかわいいもの。なかには身の危険を感じたほどのとんでもない迷作もあったようです。そんな、思い出すのも恐ろしい一品についてヒトメボの男性読者に聞いてみました。

バリ硬のパスタ

「彼女が初めて作ってくれたパスタが妙に硬かった。理由を聞くと、どうやら僕がラーメンの替え玉では硬めが好きだから、気を回してパスタも硬めにしてくれたらしい。『せっかくだけど、そこはちょっと違うんだよ』と説明して、わかってもらえた」（東京・26歳男性）

　アルデンテのはるか向こう側。料理が不穏な仕上がりになるほどの気遣いは愛情の暴走とも言えそうですが、これくらいならかわいいもの。

ハチミツを直接かけたポークソテー

「クックパッドを見てポークソテーを作ったというので、期待して口に入れたらものすごく甘い。ハチミツの味がすごい。よくよく聞くと、『クックパッドの料理名だけ見て、作り方は見てない』らしく、最後の最後に直で肉にハチミツをかけたとのことだった」（埼玉・25歳男性）

　料理名からどこをどう早合点したのか。肉料理にハチミツというと、下味を付けたり、肉を柔らかくしたりするために用いるのが一般的ですよね。よく分からない彼女の性格がよく表れた、かなり豪快な一皿。

お鍋の隠し味にコーラ

「鍋の汁がなんか黒っぽかったので、『しょうゆ系の味付けなのかも』と思い口にしたら、舌にまとわりつく甘さで気持ち悪い。コーラが鍋の隠し味になっていた」（東京・31歳男性）

　「コーラで肉を煮ると柔らかくなる」「カレーの隠し味にコーラ」という話も耳にするので、この彼女もそのあたりから連想したのでしょうか。とりあえずまったく隠せていないことはたしかです。

庭に生えてた雑草のサラダ

「ある日、見たことない野菜のサラダが出てきた。ドレッシングはおいしい（市販のやつだから）。でもその野菜がものすごく苦い。『この野菜、変わった味だね』と言ったら、妻が嬉しそうに『庭に生えてた草を取ってきたの。無農薬だし、鮮度抜群でしょ』と」（千葉・34歳男性）

　たしかに、無農薬で鮮度抜群である点は否定できません！　「そうだ、この野菜（雑草）をサラダに使おう」と閃いたとき、きっと彼女は浮き立つ気分だったに違いありません。インスピレーションを大事にするタイプの料理人ですね。でも野草の中には食べられないものもあるので、味よりもまず安全かどうかの確認を。

お好み焼きの豚肉が生

「お好み焼きの豚肉がほとんど生だった。食べる寸前に気づいてよかった」（東京・24歳男性）

　火が十分に通っていない豚肉は、食中毒はもちろん寄生虫に感染するおそれもあります。身近な食材だけに、こんなケースも「あるある」かもしれませんが、調理の際はぜひ気をつけたいところ。

刺身の天日干し

「真っ黒になっている刺し身に、ふんだんに刻みネギが乗っている料理が登場。ネギで誤魔化そうとしているけど、刺し身から明らかな異臭がする。彼女いわく『魚の天日干しに挑戦してみた』とのこと。やり方は『ベランダに丸一日干しておいた』とのこと…」（東京・27歳男性）

　魚を干物にする場合、前もって塩水につけたり、湿度や風なんかも考慮するはずなのですが、とりあえずベランダに刺し身をぶら下げていただけだという。想像するとわりにシュールな光景です。あと何日か干していたらご近所さんからなんと言われていたか……。

公園で拾ってきたキノコ？

「朝、妻とケンカして、そのまま出勤。帰ってくると晩御飯を用意してくれていた。『もう機嫌直ったのかな』と思いながら食べていると、妻が変なふうに微笑んで、『そのキノコ、公園で拾ってきたんだよね』と。慌てて口から吐き出して、『なんでそんなことするんだ！　死んだらどうする！』と怒鳴ると、妻がまた笑って『嘘だよ。冗談に決まってるじゃん』と」（東京・36歳男性）

　妻を怒らせるとこんな怖い目にあってしまうこともあるのですね。「嘘」と言っていますが、その言葉は果たして信じていいものでしょうか。

　常識では考えられないような料理を作り、そしてさらに味見をせずに彼や夫にそれを供する。味は推して知るべし、です。とりあえず今回は、具合を悪くした人が出ていないのが不幸中の幸いでした。

(藤井弘美＋プレスラボ)

初出 2015/3/15