ヒトメボ

臨床心理士

石川裕理

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 彼氏とのけんか、家庭の心配事など、気にかかることがあるためにイライラして、仕事に集中できないときってありませんか? 仕事が手に付かないあまり、さらにイライラしてしまう…なんてことも。そんなとき、どうやって気持ちを切り替えればいいのか、臨床心理士の石川裕理先生に聞いてみました。

 石川先生によると、「悩みごとなどでイライラしたときの対処法は、単純ですが深呼吸をすること」。

「イライラしているときや、感情が高ぶっているときは、必ず呼吸が早く浅くなっています。緊張や活動をつかさどっている交感神経が優位になりすぎている状態ですね。深呼吸には、その逆の作用がある副交感神経を刺激して、リラックス状態を作り出す効果があります」(石川先生)

 具体的な深呼吸の方法は以下の2つ。

できる限り深く、長く息を吐く

最低でも5回以上

 体の緊張をほぐしてリラックス状態を作り出すと、イライラも抑えられるんですね。

 さらに、石川先生はこのようにアドバイスしてくれました。

「イライラしたときは無理に心を静めようとしないことです。感情というのは自分の意思に関係なく、勝手に湧いてきてしまうものですから。たとえば空腹になるとお腹がグーッと鳴ってしまって恥ずかしいとか、自分の意思でどうにもできないことってありますよね。そういう生理的反応と同じと考えればいいのです。つまり、空腹の場合は食べなければ解決しないのと同じで、イライラの原因が取り除かれなければ、根本的にはその感情はどうにもならないと思いましょう」(同)

 なるほど、イライラしてしまう気持ちを抑えようとすることじたい、無理のある話だったのですね。

「いつでも自分の100%の能力を出し切って仕事に取り組める人などいません。『今日はイライラするなあ、集中できないなあ』と思いつつ、目の前にある仕事をできる範囲でたんたんとこなしましょう。感情的になって仕事を投げ出すことが結果的に一番よくありません。自己評価で6割出来ていれば大丈夫だと思いましょう」(同)

 自己評価で6割、そう考えるとだいぶ気が楽になりますね。イライラを抑えるのではなく、イライラしている自分を認めるということが大切なんですね。

「ただし、気にしてもどうにもならないことが、どうしても気になって仕方ないという心理状態が長く続くようであれば、それは神経症的な状態と言えます。たとえば家の戸締りをして出掛けたかどうか気になって何も手につかない、という病的な症状もあります。それが気になり精神的に疲れ果ててしまう……というようなレベルの場合は、専門家に相談してください。必ず原因があり、解決方法があります」(同)

 やはり、イライラしている自分の状態を知ることが、問題解決の糸口のようです。仕事中にイライラして集中できないときは、そんな自分を冷静に見つめてみてください。

(田中結/プレスラボ)
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ライター

田中結

プレスラボ

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