引用だけで自分のコメント一切なし！ SNSで見かける、困った「格言ちゃん」たち

　SNSではさまざまな人を見かけるものですが、かっこいい言葉や格言を引用して、「分かってる感」を出している人っていますよね。そして時折、あまりの説得力のなさに見ていて白けた気持ちにさせられてしまうことも。そんな困った「格言ちゃん」について、ヒトメボ読者に聞いてみました。

理解の浅い格言ちゃん

「『“20代は自分のため、30代は家族のため、40代は地域のため、50代は国のため！”　私も20代のうちは自分磨き頑張る！』とTwitterで発言していた女子が残業を他のスタッフに押し付けて帰ったが、『自分のため』ってそういうことじゃないし、この人はきっと50代になっても自分のためだけに行動していると思う」（東京・31歳女性）

　格言の上辺だけをさらって、自分の都合のいいように解釈している格言ちゃんです。個人主義を貫くことが必ずしも自分磨きに直結しているはずはないのですが、彼女がそれに気づくのはいつになるでしょう。　

鼻につく格言ちゃん

「唐突に有名人の格言を呟く男子。単発で、引用だけで自分のコメントとかは一切なし。誰かが『それ、スティーブ・ジョブズだね！』と反応すると、『ジョブズは○○だったけど、一般人は△△。おれはジョブズ側の人間』みたいな、そこはかとなくムカつくレスを付ける。今では彼がなんか投稿しても、誰も相手しなくなった」（神奈川・25歳女性）

　悦に入りたい人にとって、SNSはなんと魅惑的なツールであることでしょうか。彼ももう少し自分を客観視できるようにならないと、ジョブズの背中は見えてこないのでは……。

空回りが目に見える格言ちゃん

「最近ちょっと出世して、小規模ながら人を監督する立場になった友人。『働きアリの法則って本当にあるんだと、最近つくづく思う』とか『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』とか、人材監督にまつわる格言をよく呟いているんだけど、学生の頃から変わっていない彼の、保身が強くて失敗をすぐ人になすりつけようとする性格をよく知ってるこちらとしては、部下の人心掌握もうまくいかないままきっと空回ってるんだろうなあとしか思えない」（東京・28歳男性）

　自分の置かれた状況に合わせて学ぼうとする姿勢は立派ですが、学生時代の友人からは上滑りして見えるのでしょうね。「やってみて、言って聞かせて――」の格言を遺した山本五十六は、こんなふうにも言っています。「どんなことでも部下の失敗の責任は長官にある。下手なところがあったらもう一度使う。そうすれば必ず立派にし遂げるだろう」。彼の場合、まずはこちらを肝に銘じたほうがいいかもしれません。

何も学んでいない格言ちゃん

「恋愛系の格言をよく呟いている女子がいる。『“泣いてパンを食べたものでなければ、人生の本当の味はわからない”』『“恋は、できの悪い学者よりも数倍勝る人生の教師である”、これって本当にそうだと思う』とか言ってるけど、当の彼女は恋愛依存体質で、ダメ男に貢いでは浮気を繰り返す渡り鳥状態。かまってほしいのかしょっちゅう『死にたい』とか言ってるし、彼氏の前での狂言自殺も一度や二度じゃない。彼女は恋愛から一体何を学んでいるのだろうと疑問に思う」（東京・25歳男性）

　格言って実践していなくても、聞いたり使ったりした時点ですでに背筋がシャキッとなりますよね。ただあまりにも行動が伴っていないと、周りは白けるどころか痛々しく感じるものです。

誤用が多い格言ちゃん

「とにかく誤用が多い男友達。『情けは人のためならず』（人にかけた情けはいつか自分に返ってくる）を、『その人のためにならないからむやみに手助けするな』として使ったり、『袖振り合うも多生の縁』（どんな出会いも大切にしなければならない）を『袖振り合うも多少の縁』って言って、『ほんの少しの縁なんだから、くだらない人間との出会いがあっても気にしない』という意味で使ったり。他にも『蝸牛角上の争い』（狭い世界でのつまらない争い）を『カタツムリと牛のように、力の差が歴然とした争い』っていう意味で使ったり。ただ本人があまりに得意げだから、間違いを指摘しにくくて困る」（栃木・30歳男性）

　けっこうなことわざ・格言好きと思われる難しいものも。惜しむらくは、好きなだけで意味をよく理解していないという。周囲に苦笑されていることは「知らぬが仏」？

　その人の実践が伴っていない、思わずツッコミたくなるような格言の引用は反応に困ります。自分もそうなってしまわないよう、精進したいものですね。あなたの周りに困った格言ちゃんはいませんか？

(藤井弘美＋プレスラボ)

初出 2014/12/26