ヒトメボ

作家

伊藤洋介

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 「バブル期」といえば、やっぱり気になるのが、当時の金銭感覚。現代の恋愛に比べて、やたらとゴージャスな印象を受けますが、具体的に交際費にどのくらいお金をかけていたのでしょうか? 「バブルアゲイン」の著者・伊藤洋介さんにお話を伺いました。

「一回のデートでは、食事で大体2万5000円ぐらい。その後、BARやホテルまで行くと、大体総額で5〜6万円ぐらいになりますかね。もちろん、男性が全額払っていましたよ」(同)

 た、高い…! と思うのは筆者だけではないはず。今はお泊りというと、お互いの家やラブホテルを考えますが、当時のスタンダードはシティホテルだったそう。しかし、毎回はホテルに泊まらないとしても、1回のデートで少なくとも2万円以上は使っていたということに…。ちなみに、デート代について読者にアンケートをしたところ、一回のデート代に1万円以上(相手の分も含め)払っている男性は全体の約16%と少数でした。

 ファイナンシャルプランナーによると、近年目安とされている交際費は月収の5%、つまり「年収300~450万円の人は、1万2500円~3万7500円」だそう。現代における1ヶ月の交際費と比較するとバブル期のデート代がどれだけ高かったかが想像つきます。

 ほかにも、「週末は箱根に行く感覚で海外に行っていた」や「新卒一年目のボーナスでベンツを購入した。さらに、それを見て羨んだ同僚が次々と外車を買いだした」など、金銭感覚に関する驚きのエピソードも多数教えてもらいました。バブルの恩恵をもっとも享受していた証券会社の話とはいえ、やはり今の時代では考えられないことばかり…。

 さぞや今よりもサラリーマンの年収も高かったはず。と思いきや、意外にも当時のサラリーマンの平均年収は400万円前後(国税庁「民間給与実態統計調査結果」)と今よりも低い金額。どうして、そんなに派手な生活が送れたのでしょうか?

「僕のいた証券会社やマスコミ、不動産業などは、バブルの恩恵をもっとも受けた業種でした。給料はそんなに高いわけではなかったけど、1回のボーナス額が軽く3ケタを超えていたりしたので、若手でもかなりの年収をもらっていたと思います。でも、僕もそうでしたが、周囲のサラリーマンたちは借金も相当ありました。当時は『いつか返せるだろ』って気持ちがあるから、どんどん借りて、そのお金で有意義な暮らしを送っていた人も多かったのでは。今じゃ考えられないけど、当時はそういう空気が蔓延していたんです」(同)

 単純に収入が多いというよりは、好景気の影響による楽観的な気持ちが「派手」で「豪華」な生活ぶりを加速させていたのかもしれません。当時の若者のパワーは、圧倒的に大きかったんですね。

 その源となっていたのは何だったのでしょうか?

「世の中が、明確に『こうなりたい』という目標を持っていた時代でしたよね。もっといい車に乗りたいとか、いい洋服を着たいとか、みんなが上を目指してギラギラしていたので、エネルギッシュだったんだと思います。

そして、バブル期は女性が強い時代でもありました。みんな、ボディコンと派手な化粧が当たり前。いま以上に女性が男性を選ぶ時代だったから、男性は女性に対して『食事もホテルも、すべて用意しました! いかがでしょうか?』というスタンスで女性に接していました。男性陣のこうした行動は『よりいい女に振り向いてもらいたい』というのが、一番のモチベーションだった気がします」(同)

 バブル期を支えていたのは、当時の若者たちの上昇志向だったんですね。今の若者が、バブル期にならって上昇志向を持てれば、日本の経済や恋愛熱も再び上向きになるかもしれませんね!

(船山壮太/verb)
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ライター

船山壮太

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