ヒトメボ

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子どもの小学校入学が近くなると、学校生活で使う文房具が必要になりますね。学校から保護者用に「準備するもの」というペーパーが配られますので、それをチェックしながら買いそろえることでしょう。このペーパーには、たいてい筆記用具は「鉛筆:2B」(あるいはB)と記載されているはずです。なぜ鉛筆の指定は「2B」が多いのでしょうか? 大手文房具メーカーの三菱鉛筆さんに取材してみました。

【基礎知識】鉛筆の「硬さ」と「濃さ」を表す記号

まず鉛筆の芯についての基礎知識をおさらいしておきましょう。普通、鉛筆には末端部分に「2B」や「HB」「F」などの数字・記号が記載されています。これは芯の硬さ・濃さを分類したもので、JIS規格によって以下の17種類に区分されています。

6B

5B

4B

3B

2B

B

HB

F

H

2H

3H

4H

5H

6H

7H

8H

9H

最も色が濃いのは「6B」で、上記の順番では下に行くほど硬くなり、最も硬くて色が薄いのは「9H」となります。同じBでも前に付く数字が大きくなるほど「軟らかく」「濃く」なり、同じHでも前に付く数字が大きくなるほど「硬くなる」というわけです。

小学生に推奨される「2B」「B」は「濃いめ」で「軟らかめ」の鉛筆なのです。ある世代以上の人は、学校で使用する鉛筆(シャープペンシルの芯も含む)といえば「HB」じゃないの?と思うかもしれません。実は、現在ではHBの生産量は以前と比べて減っているのだそうです……。

文部省が決めているわけではない! 学校ごとに違うが……

小学校に入学する児童を持つ親御さん向けに配布される「準備するもの」というペーパーは、基本学校ごとに作成しているもので、特に文部科学省が何かを定めているわけではありません。そのため、当然ですが文部科学省は鉛筆の濃さ・硬さを指定してはいません。

知り合いの小学校教師に聞いてみたところ、その教師の学校では「2B」を推奨していますが、中には「B」の学校もあるとのこと。なぜ「2B」が多いのかを聞いたところ「誰が決めたのかは分からないが、書き取りやテストなどのことを考えても、薄い色で読めないと困るから。教師が横から見てもはっきり読めるように書ける鉛筆がいいでしょう」とのことでした。確かに、テストで正解しているのに「薄い字で読めないからバツ」なんてことになったらその子がかわいそうですものね。

三菱鉛筆さんに聞いてみた! なぜ「2B」なのか?

文房具メーカーの老舗にして大手である三菱鉛筆株式会社にお話を伺いました。

――入学時に父兄用に配布されるペーパーでも「鉛筆は2B」などと記載されるように、小学校で使われる鉛筆は現在「2B」あるいは「B」が多いようですが、これはなぜなのでしょうか?

その理由については、小学校におたずねいただくのがよいかと存じます。

ただ、小学校低学年はノートのマス目も大きいですし、まだ鉛筆の持ち方が安定しておらず、筆圧の強い子もいれば弱い子もいる中で、濃く書ける軟らかい鉛筆は日本語の特徴であるトメ、ハネ、ハライがしっかり書けるため選ばれているのではないかと推察します。硬筆書写の授業では、4B、6Bなどのやわらかい芯が使用されています。

――なるほど。トメなどの日本語の特徴をしっかり書けるものが良いと。すると2Bは小学生にとって良いチョイスなのでしょうか?

一般筆記ではF〜HBの硬度が最も使われているようですが、B、2Bは芯が軟らかいので学童にも適しています。

――「HB」は最もポピュラーなイメージがありますが、生産量も一番多いのでしょうか?

当社の生産量内の各硬度の割合を1994年と2014年で比較しますと、1994年の段階ではHBが最も生産量が多かったのですが、2014年ではHBが減って2Bが逆転しています。

――えっ! それはなぜなのでしょうか?

逆転の理由としては、大人の事務用途の筆記用具がシャープペンシルやボールペンなどに移り、その結果として「鉛筆のメインユーザーが小学生に変化した」ことが考えられます。大人の事務用としてはHBが使われることが多いですが、学童がメインユーザーになったことで、学校で指定されることの多いBや2Bの鉛筆の割合が増えたと考えられます。

――小学校の新入生向けに、学童用にお薦めの鉛筆があったら教えてください。親御さんの参考になると思いますので。

学童向けにお薦めの鉛筆としては、ナノダイヤ鉛筆、グリッパー鉛筆、hahatoco鉛筆があります。どちらも軸に持ち主の名前を書く欄がありますので、学童用に便利なデザインです。

ナノダイヤ鉛筆は、厳選した黒鉛と粘土を利用し、特殊オイルとナノダイヤモンド粒子を芯に配合しています。そのため、黒鉛の配列が整い、描線は当社の従来品と比べ、10%濃く、筆記時の摩擦は10%以上低下しているので、紙に引っかかりにくく滑らかに濃い文字を書くことができます。滑らかに書くことができるので、これから指先の力加減を学んでいく入学児童にお薦めの鉛筆です。

ナノダイヤ鉛筆

グリッパー鉛筆は、鉛筆表面の塗装に「グリップ層」という特殊なノンスリップ加工を施しているので、鉛筆を握る力が弱くても、また汗をかくほど強く握ってしまっても、指先が滑らずしっかりと持つことができます。力のコントロールが安定していない低学年の児童にお薦めの鉛筆です。

グリッパー鉛筆

hahatoco鉛筆は、シンプル&ナチュラルな北欧テイストのデザインです。「お子さんと一緒にお母さんもワクワクするデザイン」をコンセプトに、動物、風景などのモチーフを暖かみのある配色で仕上げています。また、多くの保護者に安心して選んでもらえるような柄が特徴です。

hahatoco鉛筆

――鉛筆もいろいろ進化しているのですね。ありがとうございました。

というわけで、小学校で使われる鉛筆が「2B」の理由は「鉛筆の持ち方がまだしっかりしていない学童でも、先生にも読み取れる濃い文字が書けるように」というものでした。また、三菱鉛筆さんからの回答にもあったとおり、軟らかい芯の鉛筆では「トメ、ハネ、ハライ」がしっかり書けるから、というのも理由の一つでしょう。ただ、現在「鉛筆のメインユーザーが小学生になっている」とは驚きではないでしょうか?

(高橋モータース@dcp)
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高橋モータース@dcp

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