ヒトメボ

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク
  • コメント入力フォームに移動する
  • 評価フォームに移動する
読了時間:約6分

タカラトミーから発売されている『ベイブレード』は、自分好みにパーツを組み替えて対戦する「現代版ベーゴマ」です。現在は第3世代『ベイブレードバースト』が発売されていますが、1999年に発売された初代で遊んだという人も多いでしょう。そこで今回は、『ベイブレード』の第1世代『爆転シュート ベイブレード』の開発を担当した株式会社タカラトミーの北村晃男さんに、開発経緯や発売当時の反響についてお話を伺いました。

ベイブレードはどうして生まれたの?

――ベイブレードが生まれた経緯を教えてください。

北村さん 90年代後半の玩具業界は、トレーディングカードゲームの爆発的ヒットの影響でボーイズホビー玩具の売り上げが圧迫されていました。それを巻き返すために開発されたのが『ベイブレード』です。「おもちゃというモノをつかった『ゲーム』」という感覚で開発しました。

――当時、「コマがモチーフの玩具」は珍しかったと思うのですが、そういった狙いもあったのですか?

北村さん コマをモチーフとしたボーイズホビー玩具はベイブレード以前にもあり、例えば弊社製品ですと90年代半ばに登場した『すげゴマ』や、その後登場した『バトルトップ』などです。しかし、いずれも期待ほど売れずロングヒットにはなりませんでした。90年代初頭には他社からもコマ玩具が発売されていましたが、90年代後半になると「コマ」をモチーフとする玩具はほぼ見られませんでした。ベイブレードは、そうした「コマ不在の隙」をついた玩具でもあります。ベイブレードは、これら『すげゴマ』や『バトルトップ』で学んだことも生かしながら開発されました。

――『すげゴマ』は懐かしいですね。

北村さん また、ベイブレードは、90年代のタカラのボーイズホビー向け玩具の「集大成」だと思っています。90年代半ばにカスタマイズが楽しめる『スーパービーダマン』がヒットし、その成功を生かして『チョロQ』にカスタマイズ要素を取り入れた『カスタマブルチョロQ』が生まれました。その後、『メダロット』の「デュアルモデル」にもカスタマイズ要素が加わっています。これらのカスタマイズ要素はベイブレードの開発に当たって参考になりました。

長く楽しんでもらうために三すくみを作る

――開発時はどのようなことに苦心しましたか?

北村さん 開発チーム内で議論されていたのは「最強のコマを出すと、(商品展開が)終わってしまう」ということでした。それを避けるために、「ループ」を作ろうとしました。具体的には、コマのタイプをジャンケンのような「三すくみ」に分けることにしたのです。

――なるほど、常に競い合えるようにしたのですか。

北村さん はい。そこで、勢いのある移動力で相手に当たる「攻撃型」と、軸先がシャープで長時間回転することができる「持久型」という2つのタイプを決めました。しかし、最後の1つのタイプを何にするかがすぐに決まらず、アイデアを出し合いました。最終的には、重量があり、他のコマの回転を弾き返す力の強い「防御型」に決まりました。

――現在の「アタック」「スタミナ」「ディフェンス」ですね。

北村さん 初期段階では防御型ではなく「カウンター」という名前で呼んでいました。重量を持たせつつ、持久型よりは回っている時間を短くするために試行錯誤しましたね。

――開発時にこだわったことはありますか?

北村さん コマの中央に取り付けるチップにキャラクターデザインを入れることです。昔のベーゴマには、当時子どもたちの間で人気があったスポーツ選手などの名前が刻印されていました。例えばアントニオ猪木さんの名前が刻印されたコマを使う子どもは「俺の猪木、いけ!」と叫ぶなど、感情移入していました。しかし、企画初期段階のベイブレードの天面は刻印がなくツルツルで、ベーゴマで遊んでいた子どものように感情移入ができないのではと思いました。そこで、天面にデザインの入ったチップを付けることにしたのです。

アニメの影響もあり大ヒット

――プロモーションではどんな工夫をしましたか?

北村さん 商品展開に当たっては、当時の子ども向けホビー市場において圧倒的な販売数を誇っていたトレーディングカードゲームの商品展開を取り入れた部分があります。例えば、すぐに遊べる「スターター」と改造用の「ブースター」という、トレーディングカードゲームのみで使用されていた商品分類呼称です。ベイブレードの商品展開においても、この分類と呼称を使用しました。

――1999年に発売された当時の反響はどうでしたか?

北村さん 99年夏に開催された『次世代ワールドホビーフェア』で先行販売を行ったのですが、そのときの売り上げはまずまず良かったと聞いています。手に取った子どもたちは、コマをカスタマイズできることを新鮮に思ってくれたようです。ただ、翌年の2000年は期待ほど売れず、伸び悩んでいました。しかし、2001年1月にアニメが放送されるといきなり大ブームになりました。

その後、休止期間も挟みながら第2世代、第3世代と展開していき、現在では、世界80以上の国と地域で、シリーズ累計出荷数3億5,000万個以上、累計売上3,650億円以上という大ヒット玩具シリーズに成長しました。

2019年はベイブレード20周年!

最後に、ベイブレードの今後の展望についてタカラトミー広報部に聞いてみました。

――今後の展望や展開について教えてください。

広報部 ベイブレードは今年で発売20周年を迎えます。20周年を記念して子どもから大人まで楽しめるさまざまな企画を準備しておりますので、ぜひお楽しみに!

――ありがとうございました。

第一弾の発売から20年を経た今でも人気の『ベイブレード』。その誕生の経緯を取材してみました。商品そのものの魅力に加え、長く楽しめるために三すくみを作るといった開発者の工夫が、これだけ長く愛される商品を生み出したといえるでしょう。20周年記念にどんなことが行われるのかはまだ明かされていませんが、今後の情報にぜひ注目してみてくださいね。

『ベイブレードバースト』公式HP

https://beyblade.takaratomy.co.jp/

取材協力:株式会社タカラトミー

https://www.takaratomy.co.jp/

Photo(C)TOMY

(中田ボンベ@dcp)
  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク

評価

ハートをクリックして評価してね

評価する

コメント

性別

0/400

comments

すべて見る >

ライター

中田ボンベ@dcp

あわせて読みたい