ヒトメボ

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1980年代はさまざまな「おまけ付き菓子」が登場しました。例えば、チョコレート菓子にシールが付いたロッテの『ビックリマンチョコレート』はその代表格でしょう。当時は同じようなシール付き菓子が人気を博していました。そんな中、シールではなく「フィギュア」をおまけに付けたのが『ネクロスの要塞』です。フィギュアの完成度は菓子のおまけとは思えないほど高く、そこに引かれた男の子たちがこぞって集めました。今回は、この『ネクロスの要塞』の開発秘話を、ロッテに取材しました。

お菓子にテーブルトークRPGの要素を取り入れた

――『ネクロスの要塞』はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

当時、アメリカでテーブルトークRPG(※)というものがはやっていて、その要素をお菓子のおまけに取り入れられないか、と考えたのが開発のきっかけです。その後、テーブルトークRPGの駒となるフィギュアをおまけに付けることになりました。フィギュアはオリジナリティーを出すために、「温度によって色が変わるもの」にしました。

※RPGの登場人物になりきり、ルールブックに従って対話しながらゲームを進めるテーブルゲーム

――筆者も当時集めていた子どもの一人だったので、温度で色が変わるのには驚きました。開発時に大変だったことは?

第1弾は勇者8人と悪の軍団31人の対決を描いています。ここから最終的に8弾まで続く壮大なストーリーになりましたが、ストーリー展開を考えるのに苦労しました。第1弾から続く物語として違和感がないようにしないといけませんし、それぞれのシリーズで物語を完結させる必要もあります。この二つの要素を同時に満たすことが大変で、5弾以降あたりからは、整合性を取るのにかなり苦労しました。

――フィギュアでこだわった点、工夫した点を教えてください。

食玩は、「それひとつでも楽しめること」が基本です。フィギュアが手元にひとつしかなくても楽しんでもらえるよう、まずはフィギュアの完成度にこだわりました。また、キャラクターの個性をイメージしやすくするためにプロフィールの文面を工夫したり、一緒に入っているカードもフルカラーの細密画を採用したりしました。もちろん菓子メーカーですので、お菓子そのものにもこだわっていました。

――確かに、付属カードに書かれていたプロフィールは読んでわくわくするものでしたね。

メーカーの想像以上の人気を得る

――発売された当初の反応はいかがでしたか?

漫画雑誌で取り上げられたり、テレビゲーム化(※)されたりと自分たちが想像している以上の広がりがありました。もちろんお菓子自体もヒットして第8弾まで発売されました。

※1990年4月にPCエンジン用ソフトとして発売

――食玩も集めていて、ゲームも持っていたという人も多いでしょうね。

当時は『ビックリマンチョコレート』が大ヒットするなど、他にもおまけ付き菓子が多くありました。その中で、『ネクロスの要塞』を覚えてくれているというのは、かなりマニアックな方なのかもしれませんね。ただ、あれから約30年たった今でも覚えてくれているというのは、メーカーとしては大変光栄に思います。

――この記事を見て「また集めたい」と思う人も出てくるかもしれませんね。

『ネクロスの要塞』がどのような経緯で生まれたのかを伺ってみました。当時、集めていた人は懐かしい気分になったことでしょう。機会があれば、大人になった今、あらためて手に取ってみてはいかがでしょうか? 細かい部分まで作り込まれていて驚くこと請け合いですよ。

画像提供:株式会社ロッテ

取材協力:株式会社ロッテ

https://www.lotte.co.jp/

(中田ボンベ@dcp)
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中田ボンベ@dcp

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