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2012.06.24
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2012.06.24
動物たちは子孫繁栄のために繁殖活動を行います。ただ、その方法は人間のセックスと違うことも多いようです。例えば、カマキリは交尾直後にメスがオスを食べてしまうことで有名ですよね。このような驚きの性事情を、動物行動学を研究している京都女子大学現代社会学部の中田兼介准教授に教えてもらいました。さっそく紹介していきましょう。
「ムササビのオスは交尾後に生殖器から粘液を出し、メスの生殖器にフタをしてしまうんです。これは『交尾プラグ』と呼ばれるもので、受精するまでほかのオスと交尾させないための手段だと考えられます」(中田先生)
「魚類はメスが産んだ卵にオスが精子をかける『体外受精』が主ですが、南米に生息するナマズの一種・コリドラスは少し変わっています。まず、オスが出した精子をメスが飲みます。そして、消化管を通った精子が、排泄腔から出されて卵にかかるのです。体外受精だと、何匹ものオスの精子が同じメスの産んだ卵を受精させるということが起こるのですが、コリドラスの方法だと、メスが『自分の子の父親はこのオス』と決められるメリットがあるのかもしれません」(同)
「多くの生物は妊娠や出産の際にメスに負担がかかりますが、タツノオトシゴはオスが負担を一手に引き受けます。というのも、メスがオスのお腹に卵を産みつけ、孵化するまでオスが卵を守るから。孵化するまで、オスはほかのメスとの繁殖はできないんです」(同)
「虫の世界は、まさに驚愕の性事情が満載です。多くの昆虫のメスには『受精嚢(じゅせいのう)』という器官があり、オスから得た精子を貯めておいて、卵を産むときに使います。メスが何匹かのオスと交尾して受精嚢で複数のオスの精子が混ざると、オスは自分の子を産んでもらえなくなるかもしれません。これはオスにとってみると嫌なのです。そこで、トンボのオスは生殖器の先がムチ状になっており、交尾時にそのムチで受精嚢の精子をかき出し、自分の精子だけを受精嚢に入れます。自分の子孫だけを残そうとするオスの戦略と言えますね」(同)
「ヨツモンマメゾウムシという甲虫のオスは、生殖器の先がいがぐりのようにトゲトゲしており、交尾時にメスの体内に穴を開け、メスを二度と交尾できなくさせます。この特徴も、オスがメスに自分の子どもだけを産ませたいからだと言えます」(同)
「トビムシやカニムシの中には、オスが精子を入れた精包を地面に置き、メスが拾って体内に入れるという、なんともつつましい性交を行うものも。ただし、必ずしもメスに拾ってもらえるわけではなく、放っておかれてしまう精包もあります」(同)
「雌雄同体のカタツムリは、二匹が出会うと細長い生殖器を出して互いの体に挿し込み、精子を渡し合います。その後、二匹とも卵を産むんです。ほかにアメフラシや一部のフジツボなども雌雄同体ですが、このような移動能力が低い動物は、オスメスが別々になっていると異性と出会う機会が少なくなります。しかし、雌雄同体であれば誰とでも繁殖できるので、いいのかもしれません」(同)
動物によってこうも性交の方法が違うとは!! でも、どの行動も「自分の子孫を残したい」という本能が働いて行っていることだと言えそう。行為にはびっくりでも、気持ちには共感できそうですね。
(有竹亮介/verb)
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