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夏は特に要注意! 法律から見る「痴漢」の傾向と対策

満員電車こそ女性の敵!?

満員電車こそ女性の敵!?

2016年09月05日(月)  読了時間:約5分
 警察庁が2011年に取りまとめた「電車内の痴漢撲滅に向けた取り組みに関する報告書」によると、同年の痴漢行為の検挙件数はなんと3,880件(電車内以外を含む)。なかでも通勤・通学の電車で被害に遭う人が多く、痴漢被害がきっかけで満員電車に乗ることができなくなったという人もいるなど、誰もが遭遇しうる「身近で深刻」な問題です。

 一方で、2007年に公開された映画『それでもボクはやってない』(周防正行監督)で話題になりましたが、痴漢には冤罪が多いのも事実。特に満員電車という特殊な環境であれば、意図的な痴漢行為かそうでないかの判断は難しくなります。

 では、実際の法律ではどのように判断されているのでしょうか? 弁護士の佐藤大和さんにお話をお聞きしました。



痴漢は夏の東京に増える?


 痴漢とは法律でどのように定義されているのでしょうか?

「痴漢行為は、各都道府県の条例において、『公共の場所または乗物において、衣服等の上からまたは直接人の身体に触れること』と定められています。条例により文言の違いはありますが、基本的に内容は一緒です」(佐藤弁護士)

 痴漢と聞いてまず頭に浮かぶのは、冒頭でも触れたようにやはり電車。季節は夏に多いそうで、「やはり夏になると女性が薄着でスカートの丈も短くなりがちなので、性的に刺激される男性が増えるのでしょう」と佐藤弁護士。特に東京などの大都市で痴漢検挙が増えるそうです。

「というのも、地方では満員電車の状況があまりないためです。人のいない電車で痴漢行為をするなら、それはもはや痴漢ではなく強制わいせつ罪に問われることも多いです。こちらは痴漢よりも罪は重いです。もちろん、満員電車でも痴漢のレベルを超えた悪質な行為は、強制わいせつ事犯として扱われるでしょう」(同)

 ちなみに、前述の報告書によると「電車内における強制わいせつの認知件数」も340件(2011年)に及びます。



「手についた繊維」が証拠になることも


 では、実際に痴漢に遭ったらどうすればよいのでしょう。佐藤弁護士によれば、

「痴漢は基本的に現行犯です。後から人物を特定しようにもなかなか証拠がないので、令状をとって痴漢をつかまえるということは基本的にはありません。そのため、第三者証言を得ることが大事になります。逃げようとする犯人をつかまえ、周囲の目撃者の証言を押さえましょう。また、痴漢行為がどのような位置関係で行われたかも大事になるので、忘れないうちにメモをとっておいてください。裁判になったときに供述内容がころころと変わったり、不自然では無罪になりやすいです」(同)

 また、稀ではあるものの「手についた繊維」が証拠になることもあるそう。

「服の上から明らかに触っていれば、つかまえたときに『私の服の繊維がついているはずなので、調べてください』と主張してみてもいいでしょう。ミクロレベルで付着している繊維を証拠にできることもあります」(同)



痴漢をでっち上げれば虚偽告訴罪


 一方で、冒頭でも述べたように「冤罪」も多いのが痴漢の判断の難しいところ。特に満員電車であれば、痴漢している相手を間違えてしまうことや、バッグなどの手荷物が触れているのを痴漢の手と勘違いしてしまうこともあります。もしいわれのない疑いをかけられた場合には、どのようにしたらいいのでしょうか。

「冤罪であれば、その場から立ち去ることです。痴漢などやっていないのに、なぜ警察に行かなければいかないのかと主張してください。それでも警察や鉄道警備隊に連れていかれた場合には、基本的には黙秘をして弁護士を呼ぶことです。ちなみに以前、甲南大学の学生が、女性と共謀して痴漢をでっちあげて逮捕されましたが、虚偽の証言で濡れ衣を着せようとすれば、虚偽告訴の罪に問われます」(同)



盗撮被害が多いのは化粧品売り場


 これまで電車内での痴漢について紹介してきましたが、気を付けなければならないのは電車だけではありません。佐藤弁護士によれば、最近多いのが「盗撮」だそう。

「もっとも多いのは、スマートフォンによる盗撮です。便利な世の中になると同時に、盗撮されやすい環境になったとも言えますね」(同)

 盗撮被害の多い場所としては、エスカレーターや階段のほか、デパートや薬局なども挙げられるそう。

「特に化粧品売り場です。女子高生など、スカートをはいている若い女性が多い場所が犯人に狙われます。また、男性に女性の協力者がいるケースでは、温泉やお風呂、トイレなども被害者が多いですね」(同)

 では、盗撮から身を守るにはどのようにしたらいいのでしょうか。

「不審な男性に気をつけるしかありません。鞄の隙間からレンズが見えたり、女性の協力者がお風呂場でタオルに何か巻いているなど、カメラを持っている疑いを感じたら避けることです。スマートフォンだけでなく、腕時計やライター、ペンなど、小型カメラのついた盗撮機器も多数販売されています。実際にどのようなものが売られているのか、一度見ておくのもいいかもしれないですね」(同)

 いずれにしても、痴漢被害に遭いたくなければ一番有効なのは「痴漢できない状況をつくる」こと。通勤ラッシュ時にはできるだけ女性は女性専用車両へ、男性はつり革に両手をつかまるなど、誤解されるような状況を極力生み出さないようにすることです。盗撮は「完全に防ぐのは難しい」(佐藤弁護士)かもしれませんが、前述のような盗撮されやすい場所へ行くときには、露出の多い服装で無防備にいないほうがいいでしょう。


 手の届く距離にある刺激的な格好は、女性が意識する以上に男性の妄想をかきたてるもの。女性も男性もきちんと自衛策をとることで、被害者も冤罪者も減らすことができるかもしれませんね。
(羊おとめ/サイドランチ)
識者紹介
佐藤大和
東京弁護士会所属。

三重大学人文学部卒業後、立命館大学法科大学院にて法律を学ぶ。弁護士を明確に目指し始めたのは、大学3年生の初め頃。ボランティアサークル部長としてのボランティア活動がきっかけ。弁護士としての信念は『「人の笑顔」と「つながり」を守ること』。親しみやすい人柄から、テレビやラジオ、雑誌などメディア出演でも人気を呼んでいる。

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