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2016.04.27
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2016.04.27
別れた恋人から貰ったプレゼントって、みなさんはどうしていますか? きっと、すぐに処分してしまうという人もいるのではないでしょうか。でも、たとえばそれがもし、プレゼントを贈った側にとって大切なものであったり、高価なものだったりしたら? 「捨てるくらいなら返してよ……」、そんなふうに思ってしまうこともあるかもしれません。恋人にあげたプレゼント、これって「別れ」を理由に返してもらうことはできるのでしょうか。
誰かにプレゼントを贈るというのは、法律上「贈与契約」にあたります。契約書を作ってないのに「契約」なんて仰々しいものになるの? と思うかもしれませんが、たとえ口約束だけだったとしても「契約」自体は成立しますし、書面は必要ありません。プレゼントするものが時計やバッグ等の場合には、それを相手に渡した時点で契約が履行されたということになります。
この「贈与契約」は、一方的に撤回することはできませんので、すでに贈ってしまったプレゼントを「やっぱり返して!」と言ったところで、相手に返す義務はありません。
登記が必要なマンション等の不動産の場合、引渡し又は登記をした時点で贈与契約が成立したということになります。ですので、たとえ登記名義は自分のままでも、マンションの鍵を渡してすでに恋人が住んでいる場合、引渡しが完了しているので、返してもらうことはできません。
車の場合も同じで、引渡し又は登録をしていると返してもらえないということになります。
プレゼントしたものはすでに相手のものなので、返してもらうことはできません……。
ただ、たとえば「プレゼントじゃなくて、付き合っている間だけ貸していたんだ」ということであれば、話は変わってきます。もちろん、女性もののネックレスを、男性が「貸していただけ。別れたんだから返せ!」と主張しても、そりゃないでしょという話になるでしょう。
でも、車やマンションといった高額なものの場合は、ふたりの交際状況や渡した経緯等から「貸していたのか」「プレゼントしたのか」を慎重に判断することになります。「貸していただけ」と判断できた場合には、返してもらうこともできるかもしれません。
また、「別れたら返す」という条件をつけてプレゼントをしていた場合には、別れたときに贈与契約が解除されることになるので、プレゼントは返さなければなりません。
法律の話をすれば、「高額のプレゼントをする場合には別れたときに返すという約束をしておきましょう!」というのが正しいんでしょうが、それもあまりに味気ないというか、なんだかリアリティのない話です。プレゼントを渡したときは、きっと幸せな時間だったはず。別れ際、そんな思い出にまで泥を塗ってしまう結果とならように、スマートな対応を心掛けたいですね。
(正木裕美 弁護士/アディーレ法律事務所)
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