ヒトメボ

精神科医

西井重超

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 年間約100万人ともいわれる『うつ病』患者。最近は「会社の後輩がうつになって辞めてしまった」なんて話もよく聞くけど、もし自分の大切な人が知らず知らずのうちにストレスを溜めて、うつになってしまったら…。

 そうなる前に、早めに『心の不調』に気付いてあげたいけど、ふだん元気で明るい人ほど、落ち込んでいるのが分かりづらそう。何かいい方法はないのかな?

「『弱い自分』を見せたくないプライドの高い人は、『いつも元気な自分』であろうとするので、周りに気付かれないままストレスを溜めている場合が多いんです。ただ、そんな人でも、ちょっとした行動に落ち込んでいるサインが隠れていることがあるんですよ」とは、産業医科大学病院の精神科医・西井重超先生。

 そこで、いつも元気な男性でも隠せない『落ち込んでいるサイン』を教えてもらいました!

肩コリがひどくなる

「何か悩みがあってストレスを感じているときは、常に体が強ばっている状態になります。そのため、仕事などで体を酷使していなくても肩コリがひどくなってしまうんです。仕事が忙しくなさそうなのに、肩を揉むような仕草が多くなったり、『なんか肩が重いんだよね~』と言っている時は、『大きなストレスを抱えているのかも』と思ったほうがよいかもしれません」(西井先生)

テレビや映画を長時間見られなくなる

「彼氏と一緒に家で映画やドラマを観ているときに、ケータイをいじりだしたり、『明日早いから今日は早めに寝よっかな』などと言って途中で観るのをやめてしまったりしたら、それも『落ち込んでいる』サインと言えます。というのも、精神的に疲れていると、集中力が続かなくなるため、長時間映像を観ることがつらくなるんです。また、『うつ』の兆候として、テレビの光や音の刺激をうっとうしく感じることもあるんですよ」(同)

趣味の話をしなくなる

「医学的には『興味や喜びの減退』というのですが、精神的に疲れていると、いつもは楽しいはずの趣味を楽しいと思えなくなってしまうんです。ふだんは好きな漫画や映画の話をよくする人が、そういう話をしなくなったら、趣味を楽しめなくなっているぐらい心が疲れている可能性がありますね」(同)

地味な色の服を着ることが増える

「メンタルの不調は、時として服装に表れるケースがあります。気分が落ち込んでいるときは、赤や黄色など明るい色の服や、派手な柄モノを着ることを無意識に避けるようになるんです。ふだんから黒や紺色など暗めの服をよく着ている人は例外ですが、そうでない人が地味な色の服や無地の服を着ることが増えてきたら、精神的に弱っているときかもしれませんね」(同)

「なんでもいい」「どっちでもいい」と言うことが多くなる

「気分が落ち込んでいるときは、『選択』や『決断』をすることがどうでもよくなり、優柔不断な状態になります。そうすると、いつもならデートでお店を決めるときに『ここに行こうよ!』『お店調べといたよ』と言ってくれる人が、『なんでもいいよ』『〇〇ちゃんが決めていいよ』と相手に決断や選択を任せることが増える場合がありますね」(同)

 なるほど、これらのちょっとした変化を見逃さないことが大切なんですね! でも、このサインに気付いたときは、どんな風に接すればいいのでしょう…?

「サインを出しているからといって、『何か悩みがあるの?』と直接的に聞いてしまうのには慎重になったほうがよいですね。ふだん元気な男性の場合は、落ち込んでいることを気付かれてしまったことに気まずさを感じて、その女性を避けるようになることもあるんです。ですから、落ち込んでいることには気付かないフリをして、『最近仕事頑張ってるよね』『〇〇くんのそういうとこってカッコイイと思う』というように『褒める』ことが大切です。褒めることで失いかけている自信を取り戻してあげることが、元気を回復させる上で効果的なんですよ」(同)

 大切な人が本当の意味で『元気』でいられるよう、『落ち込んでいる』サインを活用したいと思います!

(岡本温子/short cut)
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ライター

岡本温子

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