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2015.10.05
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2015.10.05
「男性より女性のほうが平均寿命が長い」とは、よくいわれることですよね。実際、2013年発表の厚生労働省のデータを見ても、日本における女性の平均寿命は86.41歳、かたや男性は79.94歳と、約6歳分の開きがあります。また、フランス、アメリカ、イタリア、韓国などでも同様のようです。
でも、ここでちょっと疑問が…。男性のほうが体格が良く筋肉もあって、体力面では勝っているはずなのに、どうして女性のほうが長生きなの?
「それは生物学的にみて、男性より女性のほうが生命力が強いと言えるからではないでしょうか」とは、生物学が専門の早稲田大学人間科学部教授・山内兄人先生。そこで、その理由を詳しく伺いました!
「女性の身体に多く分泌される女性ホルモン『エストロゲン』には、血管をより良く維持する効果があります。実は、長生きをするためには身体の『血管』が丈夫であることが重要なんです。というのも、身体的な若さを保つためには、栄養や酸素を血液に乗せて全身の細胞に行き渡らせる『血管の力』がなければいけないですからね。
また、エストロゲンには動脈硬化の原因となる血液中のコレステロール値を低下させる作用もあります。動脈硬化が防げれば心筋梗塞にもなりにくいので、女性の心筋梗塞の発生率は男性よりも4~5倍低いんですよ」(山内先生)
女性はホルモンのおかげで若々しくいられるんですね! 他には、どんな理由があるのでしょう?
「遺伝子の仕組みを見ると、女性の性染色体は『XX』、男性は『XY』という組み合わせになっています。この中の『X』には病気から身体を守る『免疫機能』に関わる遺伝子の情報が含まれているんです。Xを二つ持っている女性は、Xのどちらかに病気の遺伝子が乗っかっていても、もう一つの病気がない方のXが優位に働くため、遺伝的な病気にはなりにくいんです。
でも、Xを一つしか持っていない男性は、そのXに病気の遺伝子があると、そのまま病気になってしまう可能性が高いんですよ」(同)
染色体の違いにも、女性のほうが強い理由が隠されていたなんて…! また身体面だけでなく、メンタル面でも女性の生命力が男性に勝る理由があるとのこと。
「生物学には、実験用のラットを四角い箱に入れて行動を観察する実験があるんです。すると、オスは箱の中をグルグル回ってやがて真ん中の方に落ち着きます。これは、その場所が自分のテリトリーとして安全かどうかを慎重に観察しているんです。しかも、オスは初めての場所に入れると、緊張のせいでたくさん糞をします。
一方、メスは初めての場所に入れても、自由に動き回り、糞をすることもあまりありません。つまり、テリトリーを守る本能があるオスは、緊張しやすく恐がりな傾向にあり、メスは大胆に行動できる傾向にあるんです。これは人間にも言えることだと思いますね」(同)
たしかに、女性のほうが海外旅行など、初めての土地に行くのが好きな人が多いような…。テリトリーにとらわれないゆえに、女性は新たな場所に飛び込める強さを持っているのかも。
こうしてみると、
…と、女性が生物学的に強く長命であるというのも頷けますね。
「女性の強さの根本には、『子どもを産める』ということがあると思います。女性には、10ヶ月間も自分のお腹の中で子どもを育てるというとても大変なことに耐えられる身体的、精神的な力が生まれながらに備わっているんですよ」(同)
なるほど、「母は強し!」は本当なんですね。ここまで女性が強いなら、女性の尻に敷かれる男性が多いのも納得できるかも!?
(岡本温子/short cut)初出 2014/2/3
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