0
0.0(0人が評価)
2016.05.12
0
0.0(0人が評価)
2016.05.12
新生活が始まり環境が変わると、初めて知る言葉がたくさん出てきます。特に新大学生や新社会人などは、今まで見聞きしたことのない専門用語や横文字に触れる機会が増えるでしょう。そんな新しい言葉のなかには思わず「かっこいい!」と感じてしまうものもあるかもしれません。そこで、「入学・入社したての頃に、かっこいいと思って連呼していた言葉」をヒトメボ読者に聞いてみました。
「新入社員として、先輩と他社に挨拶回りをしたとき。ある訪問先で話した人が、『それについては断然アグリーで』と言っていた。賛成をアグリーと言うことがなんだかかっこよく感じられて、それ以来何かと『私もアグリーです』と言うようになった」(新潟・28歳男性)
筆者も、ある企業の打ち合わせで「この意見についてはアグリーでいいですか?」と全員に聞いている人を見たことがあります。
「大学に入ると、英語以外に『第2外国語』の授業がある。その授業について話すとき、中国語なら『チャイ語』、フランス語なら『フラ語』、スペイン語なら『スペ語』というのがかっこよくて、連呼していた。『あしたのチャイ語出る?』なんて会話に、大学生活を実感した」(神奈川・25歳女性)
キャンパスライフの真髄は第二外国語にあるのかもしれないですね。ちなみに、ドイツ語は「ドイ語」と略されることが多いようですが、こちらについてはちょっと響きがしっくりこない気もします。
「新入社員の頃、先輩に『どこに住んでるの?』と聞かれて場所を答えたら、『通勤は、ドアトゥドアで何分かかる?』と言われた。大学まではそんな言葉聞いたこともなかったし、発したときの満足感がすごいので、それからしばらくはドアトゥドアを連呼していた」(東京・26歳男性)
なぜでしょう。確かにドアトゥドアを口に出した瞬間の満足感はなかなかのものがあります。「ドアからドアまで」という現実的な観点も大人っぽくてかっこいいですよね。
「ある先輩が『この仕事が将来の分水嶺になる』と言っていて、意味を調べると『分岐点』に近い意味だった。でも、そこをあえて分水嶺と言うのがかっこよくて、すぐに真似をした。ある上司には、『よくそんな言葉知っているな』と褒められて、思わずニヤけた」(愛知・32歳男性)
あえて難しいほうの言葉を使って感心されることもあれば、やり過ぎて思わぬところで意味をとり違えて恥をかいたり、分かる言葉で言えなんて怒られたりするので注意も必要です。
「配られるプリントや提出物のことを『レジュメ』と不必要に連呼していた。ある日、別の生徒が『レジメ』と言ってるのを聞いて恥ずかしくて急いで調べたが、どちらでもよさそうなので安心したのが思い出。自分はよりフランス語っぽいレジュメで4年間通すことにした」(愛知・36歳男性)
きっと中高生時代には一度も発したことはないのに、誰とはなく素知らぬ顔で使い始める単語の代表例ではないでしょうか。 社会人になるとぱったり使わなくなる言葉でもありますよね。
「入社したとき、先輩の女性社員が『うー、今日のタスク多すぎる』と言っていた。その後、タスクとは『やらなければいけない仕事』という意味だと知り、カッコいいので乱用した。やることが多いときでも、それをタスクという言葉で表現すると、多少は気分が楽になる感じもあったので」(東京・27歳女性)
仕事、作業と同意語で同じ三文字ですが、濁らないからスマートに響くのでしょうか。それでなんとなく「やらされてる感」も少なく感じるのかもしれないですね。
「大学に入ると、必ず受けなければならない『必修科目』や、人によって受けたり受けなかったりする『選択科目』がある。そこで、『必修科目』のことを『マスト』と呼ぶようになった。『その科目ってマストだっけ?』などというと、いかにも大学生のような気がして楽しかった。あくまで1年目だけの話だけど」(静岡・30歳男性)
使用期間が限定されているだけに、その言葉を聞くだけで、大学1年生時代の思い出が脳裏に浮かんできそうですね。ところで、選択科目のことは何と言っていたのでしょうか。
「卒業後、多くの友人は就職しましたが、私は大学院へ。先に社会人になった友人たちと遊ぶことになってスケジュール調整をしていたら、一人の子が『ごめん、リスケをお願い!』と言い出して。リスケジュール(リスケジューリング)のことだと説明してもらいましたが、最初は『栗鼠毛』って……? と思いました。覚えた後は便利なので頻繁に使ってました(神奈川・29歳女性)
日本語だと「日程の再調整」ですが、確かにリスケのほうが短くて言いやすいですし、ほかに適当な言葉が出てこないですね。仕事で使い始めたのを機にプライベートで使う人も多そう。
かつてかっこいい!と思って連呼していた言葉。あらためて振り返ることで、その背景にあった大学生や社会人になった嬉しさや誇らしさ、大変さなど、当時の気持ちも浮かび上がってくるかもしれません。そんな感傷に浸りたくなったら、久々にその言葉を連呼してみてはいかがでしょうか。
(有井太郎+プレスラボ)初出 2015/5/12
0comments