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2019.02.22
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冬のレジャーとしておなじみの「スキー」。昨今はスキーを楽しむ人が減っているそうですが、最盛期だった1990年代はどこのスキー場も人でごった返すほどの人気でした。その時期に初めてスキーやスノーボードを経験したという人も多いでしょう。では、そうした1990年前後のスキーブーム期に、スキーを楽しむ人はどのくらい増えたのでしょうか? スキー人口の推移について調べてみました。
日本でスキーが普及するきっかけとなったのは、1911年(明治44年)にオーストリア陸軍のテオドール・エドレル・フォン・レルヒ少佐が日本の軍隊にスキーを教えたこと、といわれています。これが日本のスキー文化の発祥で、レルヒ少佐がスキー指導をした1月12日は「スキーの日」に制定されています。ちなみに、新潟県のゆるキャラ「レルヒさん」はレルヒ少佐が由来です。
同じく1911年に、日本初の民間スキー場といわれている山形県の五色温泉スキー場が開場。こうして着々とスキー文化が広まっていきました。その後、高度成長期を迎えた1960年代に大きなスキーブームが起こります。1966年には加山雄三主演の映画『アルプスの若大将』が公開され、この作品もブームを後押ししたといわれています。このときスキー人口は100万人を突破。各地にスキーリゾートが次々にオープンし、多くの人がスキーを楽しみました。
1960年代に起きたスキーブームをきっかけにスキー人口は増え続け、1980年代に入る頃には600万人を突破します。スキー人口はこのまま順調に右肩上がりで推移しますが、1980年代後半に爆発的に増加します。
国土交通省のデータによると、1982年〜1992年までの10年間のスキー人口の推移は以下のようになっています。
1982年 600万人
1983年 650万人
1984年 680万人
1985年 700万人
1986年 750万人
1987年 800万人
1988年 900万人
1989年 1,100万人
1990年 1,380万人
1991年 1,700万人
1992年 1,760万人
参考:国土交通省『スノーリゾート地域の現状』
1987年までは1年で50万人ほど増えるペースでしたが、1987年から1988年で100万人も増加。さらに1988年から1989年にかけて200万人、1989年から1990年かけては220万人、1991年には一気に320万人も増えています。
このバブル期のスキーブームを生み出すきっかけのひとつが、1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』です。本作のヒットを受けてスキーに興味を持つ人が増え、そうした新規スキー客を呼び込むために多くの企業がこぞってスキーリゾートを開設・拡張しました。また、当時はバブル真っただ中で現在よりもレジャーにお金をかける人が多かったことも、スキー人口が増加した理由だといわれています。
当時のスキーブームはすさまじく、スキー場はどこも混雑し、有名な大規模スキー場では数十分もリフト待ちしないといけないほど。秋になるとスキーグッズのCMがバンバン放送され、スポーツショップの大部分をスキー用品が占めるといった光景が見られました。休日になるとスキー場に続く道は大混雑し、混雑を避けるために明け方や前の晩から出掛けて駐車場で開場を待つという人も多くいました。
スキー・スノーボード人口が最盛期を迎えたのは長野オリンピックが開催された1998年で、その数は1,800万人(スキー1,400万人、スノボ400万人)にも上ります。しかしそこをピークに徐々に減少します。
1998年からの10年間で以下のように推移しています。
1998年 1,800万人(スキー1,400万人、スノボ400万人)
1999年 1,660万人(スキー1,230万人、スノボ430万人)
2000年 1,620万人(スキー1,160万人、スノボ460万人)
2001年 1,610万人(スキー1,080万人、スノボ530万人)
2002年 1,630万人(スキー1,090万人、スノボ540万人)
2003年 1,190万人(スキー760万人、スノボ430万人)
2004年 1,230万人(スキー760万人、スノボ470万人)
2005年 1,230万人(スキー710万人、スノボ520万人)
2006年 1,030万人(スキー610万人、スノボ420万人)
2007年 960万人(スキー560万人、スノボ400万人)
参考:国土交通省『スノーリゾート地域の現状』
2003年には一気に500万人も減少。スノーボードを楽しむ人の数はほぼ横ばいですが、スキー人口は大きく減っており、最盛期のおよそ4割になっています。スキー人口が減った原因として挙げられるのが、
の3つです。1990年前後のスキーブームを牽引していた世代が40代、50代になったことでスキーに出掛ける機会が減り、さらに不景気によって新規にスキーを楽しもうとする若い世代が増えず、そのためスキー人口が減った、というわけです。実際に2003年は就職率が過去最低の55.1%を記録するなど、若者にとって最悪の状況でした。そんな社会状況ではレジャーを楽しむ余裕はないでしょう。
また、スキーからスノーボードにシフトした人が多いのもスキー人口が減少した要因。スノーボードの方が若者に人気があり、新規に始める人もスキーよりスノーボードを選んだために、スキーと比べてプレーヤー人口は大きく減りませんでした。
さて、現在のスキー・スノーボード人口ですが、なんと「620万人(スキー400万人、スノボ220万人)」(2017年度)まで減っています。最盛期のおよそ3分の1です。スキーだけでなくスノボ人口も大きく減っていますね。近年は以前にも増してレジャーにお金をかけない若者が増えており、スキー場を訪れる人も激減。全国にあったスキー場も以前と比べて2〜3割も減少しているそうです。
景気の問題もありますが、かつてスキーブームを生み出すきっかけとなった『私をスキーに連れてって』のような、レジャー欲を刺激するコンテンツが新たに誕生していないのも人気が低迷している要因。ただ、ブームには周期がありますから、何かきっかけがあれば再びスキーブームが訪れるかもしれませんね。
スキー人口が大きく減少しているとはいえ、スキーがつまらないものになったわけではありません。実際に行ってみるとやはり楽しいものです。長い間行っていないという人はこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。当時家族と一緒に楽しんだ思い出がよみがえるかもしれませんよ。
データ引用元:国土交通省『スノーリゾート地域の現状』
http://www.mlit.go.jp/common/001068553.pdf
(中田ボンベ@dcp)
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