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2012.03.02
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2012.03.02
日本最古の歌集である万葉集には、恋の和歌が数多く収められていることをご存知でしょうか? そこで今回は、当時のモテ男として数多くの女性と恋の駆け引きを演じた、奈良時代の貴族・大伴家持(おおとものやかもち)の歌をご紹介! 万葉集研究家で『女と男の万葉集』の著者である桜川ちはやさんに、とっておきの和歌を厳選して頂きました。
家持は、年の差を越えた“一途な愛”を、次のように歌っています。
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百歳(ももとせ)に
老い舌出でて よよむとも
我は厭(いと)はじ 恋は増すとも
(巻4-764 大伴家持)
≪訳≫
「百歳になって、舌が出て老いて腰が曲がってよぼよぼになっても、私はあなたを嫌ったりはしません。恋は、増す一方ですから」
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「これは、作者の大伴家持が10歳以上も年上の紀郎女(きのいらつめ)に贈った歌です。じつはすでに一度、安貴王(あきのおおきみ)のもとに嫁いでいた紀郎女。夫との離別後に出会ったのが、年下の家持でした。紀郎女は、この歌の前に『若いあなたとの恋に溺れてしまいそう。でもきっと、いずれ飽きられて捨てられ、寂しくなるのだから、やっぱりよしましょう』と詠んでいます。ところが、恋多きインテリ貴公子の家持は、年上キラー。それに応えた歌がこれですから、紀郎女はもう“どうしましょう”状態。『こんな歌もらっちゃったら、やっぱりだめ』と、気持ちを抑えられなくなってしまったようです」(桜川さん)
年下のイケメンを虜にした紀郎女もうらやましい限りですが、何よりも、大伴家持がこんなキザなセリフを言っていたなんて驚き! モテる男性は昔から、女心を理解するのが上手だったんですね。
「ちなみにこの歌の中では加齢現象のことを『よよむ』という言葉でサクッと表現していますが、これは現在にはない古語。高齢化社会で晩婚化が進んでいるいま、復活したら便利な言葉になりそうです」(同)
なるほど…耳慣れない古語も、意味を知るとちょっと使ってみたくなりますね! いずれにしても、女性として何歳になっても恋愛対象として見てもらえることほど、嬉しいことはないですよね。
大伴家持の歌のほかにも、万葉集にはまだまだ知られざる恋愛秘話が存在するはず! 読書の秋は『万葉集』に触れてみるのもいいかもしれませんね。
(池田香織/verb)
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