ヒトメボ

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「あまり長持ちしなくてもとにかく安い物を買う」という方もいれば、「値段が高くても長く使える物を買う」という方もいるかと思います。果たして、安価な物を頻繁に買い換えるほうがトクなのか、それとも高価な物を長く使い続けるほうがトクなのか? ファイナンシャルプランナーの志岐茂信さんに仮説も交えて聞いてみました。

仮説1:1万円のビジネスシューズvs10万円のビジネスシューズ

10年間で1万円のビジネスシューズを年に1回買い換えるケースと、10万円のビジネスシューズを10年間使い続けるケースを例に志岐に試算してもらいました。

まず、1万円のビジネスシューズを年に1回買い換えるとすると、10年間で単純に10万円かかることになります。

10万円のシューズの場合は10万円で同じですね。ただし、いくら高価なシューズとはいえ、長く履いていればソールが磨り減ってきます。高級な靴はメンテナンスがしっかりしているので、ソールの張り替えなどにも対応してくれます。仮にソールの張り替えを1万5,000円かかるとして、2年毎に張り替える場合は、10年間で7万5,000円が必要です。購入代金を含めると17万5,000円のコストとなります。

10万円のビジネスシューズのほうが10年間で7万5,000円出費が多くなることになります。

仮説2:5万円の時計vs50万円の時計

5万円の時計と50万円の時計。いずれも「時間を計る」という目的は同じです。誤差も5万円の時計と50万円の時計ではそれほど差がありません。単純に考えれば、5万円の時計のほうがオトクと言えます。

しかし、志岐さんによると「資産」としての価値が全く異なるということです。高級な時計は、ブランド力など機能以外の付加価値も高いのです。そのため値下がりがしにくく、将来、逆に価値が上がることも考えられます。

たとえば1990年に発売されたロレックス・デイトナ16520は当時の販売価格が50万円でした。しかし、現在では希少価値の高さから大幅に値上がりし、300〜400万円で取引されているそうです。

5万円の時計がこれほどまでに値上がりすることはまずないかと思われます。高価な時計で、ブランド力や製品の魅力が高いからこそ、これほどまでに価値が上がったと考えられます。

高価な時計は時間を計るという「道具」の側面に加えて、価値が上昇する可能性がある「資産」という側面も持ち合わせているということです。

なぜお金持ちは高価な物を使うのか?

「高価な物を長く使う」ことが必ずしもオトクとは言い切れません。しかし、お金持ちはなぜ高価な物を使うのでしょうか。もちろん、時計のように価値が上がることを期待するという投資的な目的で高価な物を買うという側面もあるかもしれませんが、もっと根本的な違いがあるかと思われます。

物に対する愛着や日頃からきれいにする習慣があれば、その物は長持ちします。お金持ちだから高価な物を長く使うのではなく、金額の多寡にかかわらず物を大切にしているからお金持ちになれるのではないでしょうか。

物を大切にする人は人間関係を大切にし、仕事においても細かいことに気づき、その結果として出世したり、ビジネスで成功したりしてお金持ちになったのかもしれません。また、頻繁に買い換える必要がないから、お金が貯まってお金持ちになったというケースもあるでしょう。

「卵が先かニワトリが先か」というような話ですが、「お金持ちになったから高価な物を大切に使う」のではなく、「物を大切に使うからお金持ちになり、結果として高価な物を使うようになった」というのが正解なのかもしれません。

高い物にはお金には替えがたい価値がある!?

たとえば、ビジネスシューズでも1万円のものと10万円のものとでは、履くときの心持ちが全然違うかと思います。1万円のビジネスシューズなら「また買い換えればいいや」と考えることもできますが、10万円のビジネスシューズだと安易に買い換えることができませんよね。僅かな汚れや傷も気になるかと思います。

高価な物は「大切にしよう」という気持ちが無意識に働き、物を大切にする習慣が自然に身につきます。物を大切にする習慣が身につけば、仕事や人間関係を今よりも大切にするようになるでしょう。こうした習慣こそが、お金に替えられない価値なのかもしれません。

また、「買い換えればいいや」という気持ちで1万円のビジネスシューズを乱雑に扱えば、1年どころが半年や数ヶ月でダメになり、10万円のビジネスシューズ以上にコストがかかることも十分考えられます。

物が溢れている時代だからこそ、本当の質を重視した物選びをし、長く大切に使っていくことこそが大切なのかもしれません。そうすれば一人ひとりが今以上に精神的にも経済的にも豊かになり、地球の限りある資源の有効活用にもつながるかと思います。今一度、「本当に良いものとは何か」「物を乱暴に使っていないか」を見直してみましょう。

(山田尚明/ケイズプロダクション)
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ライター

山田尚明

ケイズプロダクション

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