ヒトメボ

弁護士

篠田恵里香

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読了時間:約4分

 「ごめん! 急にお金が必要になっちゃって…。お金を借りたいんだけど、保証人になってくれないかな?」

 もし突然、恋人にこんなことを言われたらどうしますか?「まあいっか」と、軽い気持ちで返事するのは危険です!

恋人の借金の保証人に。どんな責任が生じる?

「借金の保証人は、その名のとおり、『借金の返済について保証する人』という立場になります。借金を借りた本人(「主債務者」といいます。)が借金を返済できない場合には、その借金を肩代わりし、全額支払わなければならないわけです。『絶対迷惑をかけないから』と言われて、軽い気持ちで保証人になる方も多いようですが、その段階で、『借りてもいない借金』を全額返済せねばならない責任を負うことになりますので、保証人になるということはそれだけ大きなことと、肝に銘じる必要があります」(アディーレ法律事務所・篠田恵里香弁護士)

 軽い気持ちで保証人を引き受けてしまうのはとても危険ですね。いくら恋人の頼みでも、お金に関しては慎重にならなければいけません。

「そして、保証人よりもさらに重い責任を負うことになるのが『連帯保証人』です」(同)

 保証人と連帯保証人の違いとは?

保証人と連帯保証人の違い

「保証人と連帯保証人は、同じく保証人ではありますが、その責任の重さが全く違います。例えば、保証人は、請求を受けたときに、『先に本人に請求してよ』と請求を拒めますが(『催告の抗弁』といいます。)、連帯保証人はそのような反論ができません。また、保証人であれば、『本人に財産があるんだから本人の財産から回収してよ』と請求を拒めますが(「検索の抗弁」といいます。)、連帯保証人にはそのような反論もできません。保証人が数人いる場合、保証人は、分割した金額を負担すればよいですが、連帯保証人は『全員が全額負担する』責任を負います。このように、連帯保証人の場合は、『ほぼ借りた本人同様』の扱いとなり、重い責任を負うことになります。現在は、借金等の保証人はほぼ連帯保証人とされているので、安易に保証人になることはとても危険です」(同)

 借りた本人と同様の扱いになってしまうとは…。もし借りた本人だけでなく、保証人となった恋人も借金を返せなくなってしまったらどうなるのかというと…。

払えない場合はどうなる?

「例えば、恋人が500万円の借金をしていて返せなくなった。その連帯保証人であるあなたも返済が難しい、という場合、どうしたらよいでしょうか。このままでは借金は残ったまま、遅延損害金だけ が膨らんでいく一方です。仮に、どんなにがんばっても500万円の返済のめどが立たない、ということであれば、『連帯保証債務を返済できない』として、裁判所に自己破産や民事再生を申し立てる他ないでしょう。例えば、貸主が長期の分割等に応じてくれるのであれば、本人又はあなたが少しずつ返済をしていく方途もあります。しかし、分割に応じてくれず、『払えない』のであれば、自己破産により借金をゼロにする、民事再生により借金を大幅に減額する、のいずれかが視野に入ります。

借金の保証人を頼まれ、恋人を助けようと契約書にサインしてしまった…その際は、将来自分が払うことになるなんて、予想すらしていないかもしれません。

しかし、借金をしている方は、既に財政破たんしているということを忘れてはいけません。保証人になる以上は、『自分が払う』くらいの意識でいる必要があります。仮に、保証人に対し請求が来た場合には、『迷惑かけないって言ったじゃないか』等と、借主との間で揉める可能性も少なくありません。借金問題は、恋人関係に亀裂が入る恐れもあるので、慎重に検討することが大事ですね」(同)

 いくら恋人の助けになりたいからといって、安易に保証人になってしまうのは考えもの。もし恋人がお金に困っていたら、まずはよく話し合い、解決の糸口を見いだすことが大切ですね。

(篠田恵里香)
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