ヒトメボ

青江美智子

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク
  • コメント入力フォームに移動する
  • 評価フォームに移動する
読了時間:約3分

 「信頼できそう」、「包容力がありそう」など、結婚相手として若い女性の間で注目を集めているというお坊さん。そこで、江戸時代から続く浅草のお寺・緑泉寺の14代目に惚れて、お寺に嫁いだ青江美智子さんから、結婚式やその後の生活について、あれこれ伺ってみました。

 結婚式はどのような形でしたか?

「自分のお寺で夫は袈裟、私は白無垢で式を挙げました。自分のお寺であり、家にもなる場所で式を挙げて、『この人と結婚するんだ』、『ここに嫁ぐんだ』という強い気持ちが芽生えました。その後はレストランに移動して、二人とも洋装にお色直しをし、披露宴を行いました。ほかにお寺に嫁いだ人の話を聞いても、この結婚式のスタイルは一般的なようです。ほかには自分の寺ではなく、本山で式を挙げたり、披露宴は普通にホテルで行う人もいます」(青江さん)

 僧侶の妻となることに不安や心配事はありましたか?

「正直、不安や心配はほとんどありませんでした。私の実家が核家族で、お寺やお坊さんとのお付き合いがなかったので、全く先入観がなかったのです。ただ、お寺に嫁ぐことが決まると、親戚や友人からしきりに『お寺なんて大変だね』『お寺の奥さんになるなんて偉いね』などと言われ、漠然と『そうか、お寺は大変なのか』と身構えることはありました」(同)

 僧侶の妻になったことで、自分自身に変化はありましたか?

「まわりからは、よく笑うようになったと言われます。お寺ではたくさんの方々と顔を合わせます。そのとき、何より大切なのは笑顔。とりわけ、自分はお寺の『いろは』もわかっていない新参者でしたから、せめて笑顔だけは絶やさないように意識していました。結婚して10年経ち、それが自然に身についたのだと思います。お寺に嫁いだことで、いつもそばで支えてくれる存在ができ、自分でも笑顔や人付き合いを大切に考えるようになって、精神的にもだいぶ余裕を持てるようなったと感じています」(同)

 一般的な結婚生活との違いは?

「家族旅行や引っ越しができないことですね。嫁ぎ先の家(お寺)の考え方によって様々ですが、うちではお盆やお彼岸、年末年始の遠出は難しいです。『いつか箱根まで行ってお正月の箱根駅伝を応援したい』という夢と、結婚前に気に入っていたクロス型のペンダントは実家に置いてきました。決して強制されたわけではありませんが……」(同)

 お坊さんの奥さんに求められることはなんですか?

「お寺のお仕事の『お手伝い』は必須だと思います。もし結婚後に仕事を続けていたとしても、家族の仕事である『お寺』に全くノータッチというのは不自然ですから。それこそ電話番だって立派なお寺の仕事です。また、もしかしたらいずれは自分自身も得度をしてお経を読むかもしれません。うちでは、お坊さんがプレイヤーで奥さんがマネージャーというふうに例えています。お坊さんの苦手なところを補うのが奥さんの務めであると思います。足りないところというのは人によって違いますが、例えば人付き合いだったり、お掃除だったり、文字を書くことだったり……。でも、お互いに足りないところを補い合うというのは、お寺に限らず、どの夫婦にも当てはまることですね」(同)

 お坊さんとの結婚は、つい見失いがちな日本の文化や行事の大切さに気づけたり、「プレイヤー&マネージャー」といった形で、「お互い足りないところを補う」という本来のいい夫婦関係を築けそうですね。

(ウチダモモコ/コンセプト21)
  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク

評価

ハートをクリックして評価してね

評価する

コメント

性別

0/400

comments

すべて見る >

ライター

ウチダモモコ

コンセプト21

あわせて読みたい