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弁護士

正木裕美

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 実は彼氏には借金があった! そんな事実を知ったとき、あなたなら彼との交際を続けますか? それとも……? いろいろと不安になってしまいそうですが、そもそも「交際相手」の借金。交際をしているというだけで、自分もなにか責任を負ったり、不利益になったりすることはあるのでしょうか。

交際相手に借金があると、なにか不利益になる?

 交際しているだけで結婚はまだなら、あくまで法律上は他人です。ですので、借金の保証人(連帯保証人)になっている場合は別ですが、交際を続けていても、あなたに彼の借金の返済義務が生じるなど、特に責任を負うことはありません。

 ただ、もし彼との関係が、単なる「交際」にとどまらず「内縁」であるならば、責任を負わなければいけないことがあります。「内縁」とは、社会一般においては夫婦のように生活していながらも、婚姻届を出さないために法律上の夫婦と認められない関係をいいます。「事実婚」や「準婚関係」と呼ばれたりもしますよね。

 入籍後の夫婦には一定の権利義務を負うことが法律上定められていますが、ふたりが内縁と認められると、夫婦関係と同様に扱われる場合があるのです。

 この場合は入籍後の夫婦と同じく、共同生活のための行為(日常家事)から生じた債務は連帯して責任を負うことになります。衣食住や家具・日用品、光熱費、医療費など生活に必要な費用について、仮に彼ひとりで契約・購入したものであって自分は保証人になっていなかったとしても、連帯して返済義務を負う、ということです。

 原則として「借金は借金をした人のもの」ですので、たとえば「ギャンブルによる借金」ということならこの日常家事債務にはあたりません。ただ、「内縁関係にあり、生活費が足りなくて借金した」ということだと日常家事債務になりますので、互いに返済義務を負うことになるのです。

借金の有無を調べるには?

 とはいえ、たとえ将来は結婚を考えている相手だとしても、なかなか「借金の有無」について話す機会はありませんよね……。もし機会があったとしても、本当に正直に話しているかはわかりません。

 もちろんお金がすべてではないですが、もし不安に思うことがあるのなら「相手の信用情報を確認する」のもひとつの手段です。

 個人信用情報の管理は、主に3社で行われています。クレジットカード・信販会社などを管理する「CIC」、銀行系を管理する「全国銀行個人信用情報センター」、貸金業・クレジット会社などを管理する「日本信用情報機構」の3社です。

 信用情報の開示は基本的に本人でしかできず、婚約者でも開示してもらえませんから、お互いに個人信用情報をとって、見せ合う機会をつくってみるのもいいかもしれませんね。借金があるのか、どのようなお金の使い方をしてきた人なのか、ちゃんと確認することができますよ。この「信用情報」ですが、奨学金や携帯電話の分割金などの滞納からも傷がつくので注意が必要です。

交際相手が「自己破産」していると、なにか不利益になる?

 借金の額が大きくなりすぎた、などの場合は弁護士を通して「債務整理」を行うことになります。

 債務整理には、大きく分けて、3つの方法があり、1つめは債務を減額したり無理のない返済プランに変える『任意整理』。2つめが、収入状況や借金の額からして返済不可能なときにする『自己破産』。3つめは、裁判所の関与のもとで住宅ローン以外の債務を減額し、原則として3年以内に返済することでマイホームを手放さずに生活の再生をはかる『民事再生』という方法です。

 交際相手に借金があり、そのうえ「自己破産」していた、と聞くと、マイナスなイメージを持ってしまうのも分かります。でも、デメリットとしては、20万円以上の財産(現金は99万円以下)が処分されてしまう、職種制限がある、再度の自己破産が制限される、いわゆるブラックリストに載って金融機関からの借入が難しくなる、官報に記載されるなどに限られます。意外とデメリットは少なく、戸籍や住民票にその情報が記載されることもありません。

 周りの人からお金を借りたり、保証人になってもらったりしている場合は別ですが、周囲の人に気づかれる可能性も少ないでしょうから、「自己破産を理由に両親が交際や結婚に反対する」などの不利益は生じないでしょう。結婚前に彼自身が弁護士に相談し債務整理をしているのであれば、問題は解決していると考えてもいいのではないでしょうか。

 「交際しているだけ」であれば責任や不利益は生じませんし、「愛しているから大丈夫」という気持ちも素晴らしいと思います。でも、この問題はのちに金銭感覚のズレや気持ちにすれ違いを引き起こし、破局に発展してしまうことも……。もし、彼に借金があることが分かったなら、早めに問題を解決し、心おきなく結婚生活のスタートを切れるようにしたほうがいいかもしれませんね。

(正木裕美 弁護士/アディーレ法律事務所)
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