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2016.01.25
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2016.01.25
絵本で心を癒すワークショップが各地で開催され、心をそっと包んでくれる優しいタッチの絵本が注目されています。そこで、絵本セラピストの竹下りこさんにその魅力を尋ねてみました。
「表情の豊かな絵と選び抜かれたシンプルな文章で構成された絵本。大人は行間に自分の内面や価値観を投影させます。まさに絵本は『心を映す鏡』。絵本と向き合ったとき、自然と素直な気持ちがふくらんで、疲れた心がやさしく癒されることでしょう」と、竹下さん。
今回は、切ない恋をしているとき、恋に終わりを告げたとき、心にしみ込むオススメの絵本を紹介していただきました。
『さようなら、わたしの恋』
クロード・K・デュボア 作・絵
小川 糸 訳/ポプラ社
悲しみの森の中、失った愛を思い泣き続ける主人公ローズ。傷ついた心に向き合い、いつしか自分らしさを取り戻していく物語。
「感情が溢れ出てしまうときは無理に心にフタをせず思いきり浸ってしまいましょう。泣きたいのならローズのように涙が枯れるまで泣いてしまいましょう。弱っているあなたの心を受け止め、そっと寄り添ってくれる、そんな絵本です」(竹下さん・以下同)
『ちょうちょ』
江國 香織 文
松田 奈那子 絵/白泉社
ちょうちょはどこへでも行ける。昨日を飛び越え、今日をくぐり抜け、新しい世界へ。自由に軽やかに飛びまわるちょうちょのお話。
「優雅に舞うちょうちょを眺めているだけでうっとり。美しい言葉にも心が癒され、励まされます。うつむいてばかりいないで、ちょうちょのように明るく飛び立ってみよう! そんな前向きな気持ちになれる絵本です」(同)
『ちょっときて』
瀬川 康男 文・絵/小学館
ねこさんはねずみさんに首ったけ。気まぐれなねずみさんに一生懸命尽くしますが、わがままに振り回されてばかり。それでもねこさんはとっても幸せそう。
「ねこさんの想いがなかなか通じないときにはちょっと切なくなりますが、ひたむきな気持ちはいつか届くものだと感じさせてくれます。重すぎず軽すぎず、決してめげず、しかもどこか楽しげなねこさんのアピール。片思い中の人へのエールになりそうです」(同)
『愛についてのちいさなおはなし』
マリット・テーンクヴィスト 作
野坂 悦子 訳/小峰書店
いつも一人で海の杭の上に座っている女の子のもとへ、若者が乗っている舟が近づき、そして去って行きました。愛することを知った女の子の心の揺らぎを表現。最後に女の子がとる行動とは?
「文章が少なく、絵から想像が広がりやすいので、読者の心の状態により受け取る印象が異なります。また、男性目線、女性目線でも感想が分かれそうです。感じたことに正解はありませんが、切なくも激しい愛の話に新たなパワーをもらえることでしょう」(同)
『君のためにできるコト』
菊田 まりこ 作・絵/学研
くまのカップルの物語。口下手で気持ちを上手く伝えられないくまこに、くまおはどんどん先ばしり。2人の恋の行方はいかに!?
「気持ちを言葉にして伝えることはとても大切、改めてそう感じさせてくれるお話です。不安を感じたときは、思い切って自分の気持ちを相手に伝えてみてはいかがでしょうか。これまで以上に通じ合えて、愛が深まるかもしれませんよ」(同)
『すきすきだいすき』
ピョートル・ウィルコン文
ヨゼフ・ウィルコン絵
いずみ ちほこ 訳/セーラー出版<絶版>
昼間が好きなヒョウのブルーノが、夜しか出歩けない黒ヒョウのリサと恋におちます。すれ違いや困難を越え、ついにふたりは……。
「ふたりの間にどんな障害があっても、愛と勇気があれば大丈夫! そんなメッセージがこもった作品。お互いに相手を理解するよう努めたり、歩み寄ったりすることで大きな壁でも乗り越えられることを2匹のヒョウが教えてくれます」(同)
気になる絵本はありましたか? もしあれば、ぜひ繰り返し読んでみてください。自分のペースで心がほぐれ、忘れていた感動やあたたかい気持ちがよみがえり、恋に傷ついた心が癒されてくることでしょう。大人になった今だからこそ「絵本」をオススメします。
(ウチダモモコ/コンセプト21)初出 2014/5/6
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